東日本大震災:放射線の健康被害に関する過剰反応
11.03.27 記載

我が家ではオール電化(エコキュートとIHクッキングヒーター)&太陽光発電をリフォームで導入しました。
導入過程の重要ポイント、経験して初めて知った事など、体験談をご紹介します。

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東日本大震災:放射線の健康被害に関する過剰反応

 福島原発の事故に伴い各地で基準値を超える放射線が検出されています。
 しかし、すぐに健康被害を引き起こすほどの放射線ではないと発表されています。
 私は仕事柄、放射線に関してある程度の知識を持っています。そんな私から見ると、一部の報道は過剰反応であり、国民の不安を煽っているとしか思えないものがあります。

 例えば、被ばく線量の単位はシーベルト(Sv)ですが、新聞記事などで「
1000ナノシーベルトの放射線が検出された」という表現を見かけました。ご存じの方も多いとは思いますが、『ナノ』とは10のマイナス9乗を表します。これって、1マイクロシーベルト(マイクロは10のマイナス6乗を表す)と表現しても全く同じです。しかし、1000ナノシーベルト1マイクロシーベルトでは前者の方が数字が1000倍大きいので、なんとなく線量が多いような気がしませんか?

 さらに言うと、
0.001ミリシーベルト(ミリは10のマイナス3乗を表す)と言っても同じです。これだと大したことはないように聞こえます。

 人体に健康被害を引き起こす被ばく線量は数十ミリシーベルト、あるいはそれ以上のレベルです。つまり、検出された線量は人体に影響を及ぼすレベルの1000分の1以下なのですが、1000ナノシーベルトなんて表現を使われると随分多いように感じてしまい、不安になる人も多いのではないかと思います。

 そもそも基準値は、24時間365日ずっとその環境にいたら健康被害が出るかもしれないというかなり厳しい値であって、1日や2日、基準値を超えた環境にいたからと言って健康被害が発生する確率は非常に低く、過剰に心配する必要はありません。

 現在復旧を急いでいる
福島原発の『施設内』での状況と、そこから離れた地域での状況は全く違うのだということを忘れないで頂きたいと思います

 もちろん、「今後も状況を注視し続け、適切に対処することは必要」ですが、「
過剰に心配する必要はない」のです。

 福島県から来た人の宿泊を拒否するホテルがあったり、福島県の業者さんからネットで買い物をしたのに届いた荷物の引き取りを拒否する人がいたり、そんな話を聞くとガッカリしてしまいます。明らかに過剰反応であり、偏見です。

 11/03/26のニュースで、海水から検出された放射線が基準値の1250倍で500mlを飲むと1ミリシーベルトの被ばくに相当すると言っていました。
 X線を使う作業者の被ばくは年間50ミリシーベルトを超えてはならないと定められています。50ミリシーベルトを超えたからと言って必ず健康を損なうというわけではありませんけどね・・・。

 上記の海水ですが、25リットル飲むと50ミリシーベルトの被ばくに相当します。しかし、あなたは海水を25リットルも飲むことができますか? もちろん私にはできません。

 また、放射線を発生している物質が何であるかも重要です。現在、最も多く検出されているヨウ素131は、半減期が約8日です。これは、8日間で放射線量が半分になることを意味します。16日で4分の1、24日で8分の1、32日で16分の1になります。64日で256分の1になります。つまり時間とともに放射線量は徐々に減っていくのです。例えば、基準値の256倍のヨウ素131が検出されても、2か月間放っておけばほぼ基準値に戻ります。仮に魚の体内に蓄積されたとしても時間と共に減っていくのです。

 水道水から基準値を超える放射線物質が検出されたとの発表がありました。しかし、関東地方で検出された放射性物質の量は
乳児に関する基準値を超えただけであって、それ以外の人に健康被害が起こることはありません。どうか、大人の方は水道水を飲んでください。私も水道水を飲んでいます。乳児を持つお母さんのために、水の買い占めなどはしないでください


 さて、あるメールが、何人もの方を経由して私のところに届きました。

 これは、東北大学の○○先生が、
原発事故に伴う放射線に関する新聞報道が過剰であることを、多くの人に広めてほしいという趣旨のメールです。
 以下、順を追って引用します。


> 皆様
>
> 今朝(3/23)のXX新聞の記事はひどいものでした。
> 福島市民に大きな不安を与えてしまったでしょう。
> 以下、XX新聞社とのやりとりです。
> 個人の情報は一応消しておきます。ご参照ください。
>
またこの情報を皆様のネットワークでたくさんの知人の方にお伝えください。
>
新聞社も学者も無責任すぎます。社会情勢が不安定になったほうが、
>
記事が面白くなるとでも考えているのでしょうか。怒りがとまりません。
> 東北を救うため、是非、お力をお貸しください。
> 私の研究室のHPもアップデートしました。
>
> ○○


 3/23のXX新聞の記事は<
こちら>(別ウィンドウで開きます)


 XX新聞の記事に関して、○○先生は以下のようなメールで抗議をしています。


> ●●●さん(XX新聞社の人)
>
> 本日のXX新聞に書かれていた「ただちに健康の被害」に 関する■■大名誉教授の
> コメントはひどいものでした。何故、きちんとした放射線生物学の若手研究者に取材
> をしないのですか? 平時ならともかく、社会不安をあおり 風評被害を広げる役割を
> 新聞が担うというのはどういった了見でしょうか?
> 御社の態度に大きな疑問が生じました。
> 健康の被害があると主張したいのであれば、どのような被害がどのような確率で
> 現れるのかを根拠を持って示すべきです。
タバコによる健康被害のようにきちんと
>
した疫学調査に基づくものではなく、明確な根拠がないことを何故きちんと伝えない
> のですか?
> 非常にがっかりしました。
>
> ○○

 

 上記のメールに対し、XX新聞社の●●●さんは、以下のような返事をしています。


> ○○さん
>
> ××新聞社の一員として、お詫びします。
> 非常に恥ずかしく思っています。
> ○○さんのご指摘はもちろん、ほかにも下記の問題があります。
>
> (1)1770マイクロSVは屋外での積算線量であって、
実際には多くの人は
>    
200マイクロSV程度の被ばくであること
> (2)福島県内の放射線量は、ほぼ放射性ヨウ素の減少曲線と同じように減少
>    している(たぶん、多くが放射性ヨウ素131です)から、
今後の積算線量
>    
はそれほど増えないであろうことを無視している
> (3)イランやブラジルで自然放射線が
1万マイクロSVの地域があると書きながら、
>    
そこの発がん率は他地域と違いがないということを書いていないなどなどです。
>
>
> この間、冷静な記事を書こうと社内で訴えてきて、少し改善されたかと思って
> いましたが、甘かったと反省しています。
>


 XX新聞社の●●●さんは、記事の内容に問題があったことを認めています。
 さらに、以下のように続けていました。


> なお、編集局長に以下の点を知らせておきました。ご参考までに。
>
>   【福島の放射線量についての評価】
>
> 福島市の放射線量(飯館などほかの地域でも基本的に同じです)は、16日に最高値を
> 記録した後、一貫して減少しています。その減少曲線は、放射性ヨウ素(ヨウ素131、
> 半減期8日)の減少曲線とほぼ同じで、1週間で半減しています。
> これの意味することは、以下の2点です。
>
> (1)各地に飛来した放射性物質の多くは放射性ヨウ素であること
>   (もしも、半減期2年のセシウム134や半減期30年のセシウム137が主体
>    なら、減少曲線はなだらかになります)
> (2)最後の爆発・火災(15日)以降、新たな放射性物質の飛来は少ないこと
>   (もしも、かなり飛来しているなら、減少曲線はなだらかになります)
>
> ここから言えることは、以下の点です。
>
> (1)今後、爆発・火災がなければ、放射線量は8日後には、今の福島市=
>    6マイクロシーベルトから3マイクロシーベルト程度になります。
>    被ばく量はかなり減っていきます。
> (2)現在は原乳や野菜から暫定規制値を超える数値を示していますが、これ
>    は主に15日までの爆発・火災により飛来した放射性物質に起因しています。
>    今後、爆発・火災がなければ、比較的早期に規制値以下のレベルになります
>
> ●●●
>

 これが真実なのだと思います。
 このような記事こそ新聞に載せるべきではないでしょうか?


 新聞を見ていると、これ以外にも、「・・・の可能性がある」や「・・・と考えられる」など、根拠もなしに推論を述べている記事が見受けられます。
 みなさん、この手の情報を見る際には、『明確な根拠を示しているか?』、『想定しているのが実際には有り得ない条件ではないのか?』を常に意識して頂きたいと思います。

 このページはリンクフリーです。転載、転送して頂いても構いません。

(2011.03.27)




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