太陽光発電:ハイブリッド型パネルの徹底分析 −その1、補足− |
我が家ではオール電化(エコキュートとIHクッキングヒーター)&太陽光発電をリフォームで導入しました。
導入過程の重要ポイント、経験して初めて知った事など、体験談をご紹介します。
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はじめに |
今まで掲示板の中で、三洋のHIT(ハイブリッド型)太陽電池の発電効率や耐久性が話題になりました。なかなか情報が少なくて、実際どうなのかが良く分かりません。 私としても大変興味があるのですが、メーカーに問い合わせても、論文を紹介されるだけでたらい回しにされるし、NEDOに質問のメールを送っても無しのつぶて・・・。 こうなったら自分で考察するしかありません。 もしかしたら間違ったことを書くかもしれません。でも、やらないよりは良いでしょう。 異論、反論、大歓迎です。掲示板なりメールなりで、どしどしお寄せ下さい。 |
今回の検討内容 |
「その1」で、HIT(ハイブリッド型)太陽電池と多結晶太陽電池の発電効率を、SOLAR CLINICの「発電指数」を使って比較しました。 それに対して「なぜ夏でも発電指数が高いのか?」という疑問が掲示板に寄せられました。 確かに言われてみれば意外な結果です。 今回はその現象に関して考察してみました。 夏でも指数が予想以上に高いという傾向は、多結晶だけでなくHITでも同じでした。特に6月の発電指数が高いです。 そこで、SOLAR CLINICに登録されている他の発電所のデータを見てみると、昨年の6月の発電指数が高い発電所がたくさんあることが分かりました。つまり、「その1」で取り上げた2つの発電所だけの傾向ではありませんでした。 |
仮説1 |
「6月の発電効率が高いのはなぜか?」 それを説明するために一つの仮説を立ててみました。 それは、「6月のパネル温度は意外に上がらない」ということです。 6月は梅雨があるために、当然のことながら、SOLAR CLINICの予想発電量は少ないです。天気が悪いから発電量が少ないのですが、逆に天気が悪いからパネル温度が意外に上がらず、前提としている70%より発電効率が高いのではないかと考えました。 そこでまず、3月と6月の八王子の気温を調べてみました。(データ1) 2006年3月20日(晴れ)と、2005年6月26日(晴れ)のデータです。 曇り場合は晴れの日ほど気温が高くないと仮定して、全体的に2℃低くしました。 もう一つ、設置条件を真南1面、傾斜角30度として、3月20日と6月26日の相対照射強度をシミュレーションしてみました。(データ2) 太陽光が屋根に垂直に入射する場合を1とし、屋根への入射角をθとするとcosθに相当する値です。 6月26日の曇りの場合は、晴れの場合の1/3(33%)の照射強度と仮定しました。 |
データ1 |
データ2 |
仮説2 |
さて、このような状況下で、パネルの温度はどうなるのでしょうか? パネルの吸熱は、太陽光が当たることによって起こります。 吸熱 = A × 相対照射強度 (Aは比例係数) 一方、外気との気温差に比例してパネルから空気中に放熱されると考えられます。 放熱 = B × (パネル温度 − 気温) (Bは比例係数) 吸熱と放熱が等しくなった時にパネルの温度が一定値に落ち着きます。 吸熱 = 放熱 A × 相対照射強度 = B × (パネル温度 − 気温) ここで、式を変形して、 パネル温度 = A / B × 相対照射強度 + 気温 = C × 相対照射強度 + 気温 (C=A/B) この、比例係数Cは未知数ですが、ここで、気温30℃で相対照射強度が0.95の時にパネル温度が70℃になると仮定します。 あくまでも仮定ですが、真夏のパネルの温度は70〜75℃くらいという記載は何度か見たことがあるので、そんなに間違った値ではないと思います。 そうすると、C=42.11になります。 パネル温度 = 42.11 × 相対照射強度 + 気温 (データ3) また、パネルの発電効率を以下の式で計算しました。(データ4) 発電効率(%) = 100% − 0.45×(パネル温度 − 25℃) − 15% (−15%はパワコン、その他のロス) |
データ3 |
データ4 |
考 察 |
なんと、「6月26日曇り」のパネル温度は、50℃まで上がりませんでした。 最高パネル温度は「3月20日快晴」よりも低いのです。 そして、発電の大部分を占める9時〜15時半で「6月26日曇り」の方が、「3月20日快晴」よりも発電効率が高いという結果になりました。 つまり、1日中快晴の日よりも1日中薄曇りの日の方が、発電効率は高いということが導けました。 6月から7月にかけては梅雨のために、1日中晴れの日は少ないはずです。そこそこ発電するような日でも、晴れたり曇ったりか、ずっと薄曇りかどちらかでしょう。 実際に設置された方は経験があると思いますが、太陽が雲の切れ間から顔を出した直後は発電量がとても多いです。パネルの温度が上がっていなかったからです。 また、雨上がりに晴れると発電量が多いです。おそらくパネルについた水が蒸発するのに気化熱を奪い、パネルの温度が上がりにくいのではないかと考えます。 関東地方の場合、雲ひとつ無い快晴が多いのは1月〜5月です。6、7月は梅雨の影響で日照条件が良いとは言えません。 また、「真夏の発電効率劣化」の実験をやったときに改めて認識したのですが、8月も意外に太陽がちょこちょこと雲に隠れたり出たりを繰り返していて、なかなか思うように実験できませんでした。 つまり、夏場は気温が高いが、意外に雲が多く、太陽が雲に隠れたり出たりしているので、思ったほどパネル温度が上がらないという仮説が成り立つと考えます。 さらに、1日の発電量の20%程度ではありますが、朝6時〜9時、夕方15時〜18時は6月の快晴の日でも、発電効率は70%を超えています。 SOLAR CLINICの予想発電量は日照量が同じなら、発電量は同じとして計算していると思われますが、天候の履歴(すなわちパネル温度の履歴)が発電効率に与える影響は、思った以上に大きそうです。 |
おまけ |
「その1」で、真冬のパネル温度は25℃以下になることがあるのではないかと考察しました。実際にそういうことがありうるのか、シミュレーションしてみました。 2006年1月23日(快晴)の気温を調べてみました。「発電量シミュレーション、計算方法の検証」を行った日なのでよく覚えていますが、天気がよく、風もあまりない日でした。 この日の条件を基準にして、どういう条件ならば、パネル温度25℃以下が起こりうるのか・・・? 風と日照の影響が大きいと考えます。ここで、次のように仮定します。 風速5mで気温が−5℃の効果。(データ5参照) これは体感温度が風速1mあたり1℃低く感じると言われているのをそのまま持ってきました。こういうケースで正しいのかどうかわかりません。 日照条件が「快晴」の70%。風が強い日に雲が流されて、太陽が時々雲に隠される場合を想定しています。(データ6参照) これらの条件で、パネルの温度がどうなるかをデータ7に示します。 |
データ5 |
データ6 |
データ6 |
データ7の結果から、1月下旬に快晴の70%の日照で風速5mだと、パネルの温度は1日中25℃を超えないという結果がでました。 考察した状況はありうるという結論です。 |
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