太陽光発電の普及と普及推進策に関する考察 12.05.06更新41版(08.08.24新設) |
我が家ではオール電化(エコキュートとIHクッキングヒーター)&太陽光発電をリフォームで導入しました。
導入過程の重要ポイント、経験して初めて知った事など、体験談をご紹介します。
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2.今後の展望−本当にこれで良いの?− |
さて、08年07月29日、福田内閣は、太陽光発電に対する補助政策を復活させ、技術開発と需要拡大で3〜5年で価格を半分にすることを閣議決定した。 後で詳しく考察するとして、以下の2点は強調しておきたい。 1)「価格が半分になることを期待して3〜5年待っても、期待はずれに終わる」 これはどう考えても無理だ。多少は安くなるかもしれないが半分にはならない。 2)「2008年(2008年度)は待ってみる価値がある」 補助金なのか、減税なのか、どんな支援策になるかわからないが、いずれにしても、「○年△月□日から●年▲月■日の間に設置したものに対して支援する」という期間を区切った政策になるのはほぼ間違いないだろう。 ということは、減税処置で早くて2009年1月から、補助金で早くて2009年4月からでないと、支援策は開始されないと考える。ちょっと待てばお得になるかもしれないなら買い控えるのは、「消費者として当然の行動」だ。 私は昨日(8/23)、ガソリンを満タンではなく10Lだけ補充した。9月になればガソリンが大幅に安くなるはずだから、必要最小限にとどめて買い控えた。 |
それでは、『福田ビジョン』の基となる、 総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会 「中間とりまとめ(緊急提言)案」 (http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?&BID=620208010) について、詳しく考察してみたい。 |
まず、驚いたのが、住宅用太陽光発電の設置に関して、新築住宅への設置しか念頭に無いような記載になっていることだ。 これから、家を新築し、なおかつ新築時に同時に設置するケースだけを、補助金やグリーン電力証書で支援していこうというもので、現在でも多数を占める既築住宅への新規設置を支援する姿勢が見られない。 前出の新エネルギー財団の 「平成19年度 住宅用太陽光発電システム価格及び発電電力量等について 」 には、全体のシステム価格だけでなく、既築住宅のシステム価格、新築住宅のシステム価格が掲載されている。それらの値から、全体に占める既築住宅の割合を算出することができる。その結果をFig.2−1に示す。 |
Fig.2−1 |
全体の7割以上が既築住宅への設置である。 この7割の存在を無視するかのような施策で普及拡大が実現できるとは思えない。 |
曰く、 『新エネ・ライフ定着のためには、コストがかかっても未来の地球のために投資するという国民の意識改革と、産学官の力を結集した技術開発、市場拡大等によって新エネルギーのコストを下げることが必要である。』 ドイツは、「国民よ、経済的メリットを保証するから投資せよ!」と言っているのに対し、日本は、「国民よ、損を承知で投資せよ!」と言っている。 「コストを下げる」といっても、普通の電気製品に比べて、販売や設置に多くの人件費がかかる商品である。液晶テレビや携帯電話のように機器の価格が下ればよいという単純なものではない。 要するに「国民とメーカーが頑張れ!」と尻を叩くだけで、政策でもなんでもない。 実際、総費用に占めるパネルの割合はどのくらいなのだろうか? 業界関係の方が、以下のような内訳を記載しているのを見つけた。 (引用:見積工場ブログ:http://blog.livedoor.jp/taiyokohatsuden/) ------------------------以下、引用-------------------------- 3kWシステムを現在の適正価格で販売すると見積り価格のブレークダウンはおおよそ以下の通りになります。 ・太陽電池モジュール 45% ・インバーター 10% ・設置架台 10% ・屋根及び電気工事 15% ・諸経費を含む粗利益 20% ---------------------------ここまで------------------------- パネル(太陽電池モジュール)の割合が半分以下と言うことは、パネルが無料になっても半額にはならないことを意味する。 メーカーだけが頑張っても無理で、販売会社・施工会社に大きな負担を強いなければならない。 |
曰く、 『技術開発に関しては、多結晶シリコン、薄膜シリコン(微結晶・アモルファス、アモルファス)、化合物型など、多種類の開発競争が進んでおり、また、モジュール化に関する研究開発・標準化等を推進し、大量生産、高信頼性及び設置・維持容易性を高めることによって、今後も価格低減が期待される。』 確かに結晶系シリコン以外の太陽電池の開発も進み、一部で商品化もされてきた。 しかし、結晶系シリコン以外の太陽電池は低コストではあるが、変換効率が低く、単位面積当たりの発電量が小さい。同じ定格のパネルを設置するためには、大きな設置面積が必要である。 つまり、都市部の屋根の小さな住宅には不向きである。 また、パネルの価格は下がっても、設置枚数が多いために、架台や工事の費用は逆に増える可能性があり、システム価格として短期間にどれだけコストダウンできるか疑問である。3〜5年で半分は無理だろう。 |
曰く、 『我が国は様々な検討の結果、技術開発、導入支援による需要拡大、電力会社による余剰電力買取等の自主的取組み、RPS法(2003年度〜)等によって、市場競争を活用し、トータルコストをできる限り抑えながら新エネルギー導入を進めており、一定の成果を上げている。』 私には見るも無残な結果としか思えないのだが・・・。 |
現在のところ、今後どのような普及推進策を行うのか、よく分かっていない。 補助金の復活という説もあれば、減税処置と言う説もあり、その両方ともいう。 どんな策であったとしても、「○年△月□日から●年▲月■日の間に設置したものに対して支援する」という期間を区切った政策になるのはほぼ間違いないだろう。 このような期限を区切った施策は、「いつ設置したか?」で支援を受けられるか否かが分かれ、必ず不公平が生じる。少なくとも2006年〜2008年に設置した人たちは、国からは何の支援も得られなかったことは紛れもない事実である。 08/08/27、経済産業省は2009年度予算の概算要求で、「家庭用太陽光発電の導入補助金」として「238億円」を計上した。補助金説が有力になってきたようだが、補助対象機種に一定のコストダウン条件を求めるという説もある。あまり複雑な制度にすると使いにくくて有効利用されない懸念もある。 ・補助金の問題点 もしも補助金を復活させるとしたら、「1.過去の失政」での考察から、1kW当たり10万円は出さないと、設置者の動機付けにはならないだろう。その際、心配なのは、補助金の一部が販売業者の利益に化けてしまうことだ。 補助金があると、販売業者は売りやすい。そして、よくあることだが、見積書の中で補助金を値引きと同等のように扱って、「こんなにお得ですよ」と言って売ったりする。つまり、思ったほど市場価格が下らない危険性が十分に考えられる。 ・減税処置の問題点 減税処置は、元々税金をたくさん払っている人にしかメリットが無い。現在、年収600万円の標準的な家庭では、住宅ローン減税の恩恵を満額受けられていないという。減税額は納税額が上限になるから、納税額が減税枠よりも少なかったら十分なメリットはないのである。つまり、減税策は所得が多い人だけが恩恵を受ける。 また、減税処置の場合、設置者は確定申告をしなければならない。これは面倒で負担である。さらに、確定申告が増えれば、税務署の仕事も増える。税務署はその負担増に耐えられるのだろうか? |
曰く、 『近年、ドイツの固定価格買取制度による太陽光発電の急激な導入拡大により、固定価格買取制度が注目されている。しかしながら、固定価格買取制度は、発電事業者間のコスト削減インセンティブが働きにくい、高価格での買取りを電気料金に転嫁するために電気料金の恒常的な値上げにつながるといった問題点が指摘されている』 あくまでも固定価格買取制度を否定している。 しかし、 結果的にドイツに抜かれたんだから、日本の政策はドイツに負けたのだ! その事実を真摯に受け止めて欲しい。高価格での買取りを電気料金に転嫁しないで環境税で補うなど、対応策はきっとあるはずだ。 ドイツと日本の政策の違いは、非常に大雑把に言えば、 『釣った魚にエサをやる(ドイツ)か、やらない(日本)か、の違い』である。 20年間、固定価格で買い取るドイツ。設置時に支援はするけど、後は野となれ山となれ、設置者の後々のことなんか知ったことではないという日本。 政府と電力会社のシナリオは見えている。仮に支援策によって太陽光発電が十分に普及したら、RPS法に基づいて、買い取り価格を1kwh 当たり11円以下にしてしまいたいのだ。そうなると、誰も元を取れなくなる。 まさに、『設置者を2階に上がらせておいて、下からハシゴをはずす』政策である。 このままの政策では、太陽光発電の設置に経済的メリットはほとんど無い! もちろん、「経済的メリットが無くても自然エネルギーの普及に役立ちたい」という方には是非導入して頂きたい。 |
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