太陽光発電の普及と普及推進策に関する考察 12.05.06更新41版(08.08.24新設) |
我が家ではオール電化(エコキュートとIHクッキングヒーター)&太陽光発電をリフォームで導入しました。
導入過程の重要ポイント、経験して初めて知った事など、体験談をご紹介します。
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3.売電単価引き上げ策の提案−価格転嫁は可能だ!− |
ドイツの固定価格買取制度の問題点として、買取コストの電力料金への価格転嫁が挙げられている。価格転嫁に対して国民の理解を得るのが難しいと言うのだ。 では、日本では実際にどのくらいの価格が転嫁されるのか??? そんな数字を探してみたのだが、私には見つけられなかった。 (ご存知の方、教えてください。) ドイツでは、年間消費電力3,500kWhの一般家庭が2010年に負担する年額は25ユーロと予測されるいう記載があった。現在のユーロ高の状況では、年額3,500〜4,000円くらいに相当する。2007/06/01に放映されたNHKスペシャル「低炭素社会に踏み出せるか〜 」でも、一ヶ月の負担額が確か約400円と言っていた記憶があるので、大きく違ってはいない。 さて、2007年度末に日本で稼動している太陽光発電の容量は、ざっくり見積もって145万kWh(多めに見積もっても200万kWh未満)、日照係数を1,000すると年間発電量は14.5億kWh。その70%を売電していると仮定すると、電力会社の買取量は約10億kWhと推定される。(多めに見積もっても15億kWhを超えていることはないだろう。) 電力各社の2007年度の販売電力量の合計は、実に9,654億kWhである。 さて、(自家消費を除く)売電価格は、東京電力の「電化上手」を例に取ると、税込で26.25円/kWhである。仮に90円/kWhを上乗せすると、116.2580円/kWhになる。 RPS法で定めた買取価格の上限が11円/kWhだから、116.25−11=105.25円/kWhを電力会社の過剰負担とみなす。 つまり、電力会社の電力販売価格+上乗せ分(α円/kWh)−11円/kWhを電力会社の過剰負担と定義する。 電力会社の年間買取量を約10億kWhとすると、電力会社の負担は約1052.5億円。 この負担分を電力価格に転嫁してみよう。年間販売電力量(9,654億kWh)で割り算すると、約0.11円/kWhの価格転嫁だ。 年間消費電力3,600kWh(300kWh/月)の一般家庭の負担増は、月に約33円、年間で396円と試算される。月にたった33円! 本当に理解が得られないのだろうか? 東京電力の2008年6月〜9月の燃料調整費(=価格転嫁)は、1.82円/kWh。4〜6月との差は0.47円/kWhで、1ヶ月当たり141円の負担増だが、暴動も起こさず(笑)、みんなおとなしく払っている!!! しかも、2009年1月からは、有無を言わさず月に約800円(年換算で9,600円!)もの価格転嫁をする予定というではないか! 0.11円/kWh(=33円/月)など屁みたいなものだと思うのは私だけだろうか? (一般家庭よりも産業界の反発が大きいのかもしれないが・・・。) |
2008年度の国内出荷量は、おそらく150MkWhくらい(ピーク時の約半分)まで落ち込むと予想している。2007年度末の稼動容量を145万kWhとすると、2030年に40倍になるには、国内出荷量が150MkWhを出発点として前年比プラス21%で20年間拡大し続けなければならない。 補助金政策で、20年間の拡大を実現できるとは思えない。かといって、繰り返しになるが、3〜5年でシステム価格半額も実現不可能だ。 国内出荷量の増加に伴う価格の低下は、前年比マイナス7%程度が現実的な線だと考えている。約10年後に半額になる計算だ。10年間の技術開発期間、国内出荷量が現在の約7倍という量産効果を考えれば、半額の実現性を誰も疑わないのではないか? いくつかの仮定に基づき、下記の各項目の今後の推移を予測してみた。 (表3−1) ・国内出荷量(150MWを出発点に前年比プラス21%) ・累積稼動量(2007年度末で1,450MkW) ・平均システム単価(70万円/kWを出発点に前年比マイナス7%) ・α(=買取価格の上乗せ分。私の勝手な提案。) ・導入時から13年間の経済効果 (自家消費:発電の30%[販売価格と同じ]、売電:発電の70%[販売価格+α]) (販売価格を税込で26.25円と仮定した) ・価格転嫁 ( (現行買取価格+α[円/kWh]−11[円/kWh])×買取量/販売電力量 ) (販売電力量は一定と仮定) ・標準家庭(消費電力300kWh/月)の負担額(月額、年額) |
表3−1 |
システム単価の低下に伴い、上乗せ分のαを減額していく。2030年以降はマイナスとなり、2038年には-15.25円で、買い取り価格はRSP法どおりの11円/kWhとなる。 ただし、αを減額しても電力会社の買取量が増えるので、一時的に価格転嫁は増える。しかし、最大でも2032年に月額で207円、年額で2,484円である。 システム単価は年率マイナス7%の低下で考えているが、将来の技術革新によって予想より早く低下すれば、αをもっと早く減額でき、価格転嫁を抑えることができる。 13年間のkW当たりの経済効果は、購入時のシステム単価とほぼ同じになり、いつ購入しても約13年で元が取れる計算だ。現在の平均システム単価と売電単価では、元が取れるのに約26年かかるので、約半分に短縮される。 以上をまとめると、 ・約13年で元が取れるので、設置しようとする人は大幅に増えると予想される。 ・メーカーや販売業者にも無理の無いペースでコストダウンを求め、システム価格を 10年で半分、20年で4分の1にする。 ・電力会社の負担は増えず(もちろん買取は義務付ける)、将来的に買い取り価格 はRSP法どおり11円/kWhにできる。 ・国民の負担は最大時でも現在のドイツの約半分にしかならず、現在の東京電力 の燃料調整費(1.82円/kWh)の約3分の1で済む。 ポイントは、いかにして国内出荷量の前年比プラス21%を実現するかだが、私は買取価格(売電単価)に上乗せさえすれば、補助金などを導入しなくても勝手に需要は伸びていくと考えている。つまり、財政出動はゼロでも良いかもしれない! 自分としては、かなり現実的な案だと思うのだが、どうだろうか? 08年10月03日、経済産業省は電力料金の「燃料費調整制度」を見直すと発表した。 燃料費の電力料金価格への転嫁を制限するということらしい。 私が、現在も高い「燃料費調整額」を払っているのだから、「売電単価引き上げ」を価格に転嫁するのは簡単だ、と上述したことに対抗した処置である・・・はずはなく(笑)、おそらくは電力会社の関連企業から自民党に献金されていたことが明らかになり、電力会社に対して厳しい政策を取ることによって、癒着が無いことを強調するのが一つの狙いではないかと考える。 電力各社は09年1月に値上げを予定しているが、これについても値上げ幅圧縮を要請し、電力会社もこれに従うらしい。 東京電力の場合、1kW当たり約2.6円の値上げの予定であったが、値上げ幅は半分の1kW当たり1.3円程度になる可能性が高いと報じられている。 大雑把に計算して、1〜3月の値上げ幅が1.3円も圧縮された場合、東京電力の損失は1000億円近くになるはずだ。電力は公共性の高い事業で独占企業ではあるが、電力会社だって営利目的の株式会社である。その業績に多大な悪影響を及ぼすようなことを簡単に決めてしまって良いのか? という疑問を持つのは私だけだろうか? おかげで、10/3の電力株の価格は暴落した。株主の被る不利益はどうでも良いのだろうか? しかし、今回の件は、政府が頼もしい前例を作ってくれたとも考えられる。 電力会社の経営に不利になるような政策をいとも簡単に決定し、電力会社に従わせる力を日本政府が持っていることを証明したのだ。 東京電力が売電単価を25円引き上げても、その負担は年間で50億円程度であり、09年1月の値上げ幅圧縮で被る負担(1000億円)の5%程度だ。そのくらい認めさせられないはずがない。 もう、「売電単価の引き上げは電力会社の経営を圧迫し、電力会社から反発がある」などという理由は通用しなくなったのである。政府さえその気になれば、電力会社を押し切ることは可能だ。そして、政府を動かすのは「世論」だ! |
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