| 太陽光発電の普及と普及推進策に関する考察 09.11.08更新24版(08.08.24新設) |
我が家ではオール電化(エコキュートとIHクッキングヒーター)&太陽光発電をリフォームで導入しました。
導入過程の重要ポイント、経験して初めて知った事など、体験談をご紹介します。
目次(クリックでジャンプします) |
1.過去の失政−2003〜2004年が転機だった− |
太陽光発電の普及と補助政策について考察するにあたり、まずは今までの実績を振り返ってみる。 Fig.1−1に示したのは、太陽光発電の国内出荷量(単位:[MW])の推移である。 (出典:JPEA(太陽光発電協会)ウェブサイト、「統計・資料」) 国内出荷量は2005年をピークに減少に転じている。 2006年、2007年と大幅に減少し、「さあ、大変!」と政府も慌て始めた。 |
Fig.1−1 |
しかし、この減少をもっと早く察知できなかったのだろうか? Fig.1−2は太陽光発電の国内出荷量の前年比の推移を示している。2001年の値は、1998年〜2001年の平均値で代用している。 1998年〜2002年には、前年比プラス50%の勢いで順調に出荷量が伸びていたが、2003〜2004年にかけて、一応プラスながらも急激に減速し始めていたことが分かる。 出荷量の前年比を見れば、既に2003〜2004年から伸び悩みが始まっていることに気付いたはずだ。 |
Fig.1−2 |
補助金の最終年度は2005年である。 なぜ、2003〜2004年から伸び悩みが始まったのだろうか? Fig.1−3に示したのは、太陽光発電の実売価格(1kWあたり)の推移である。 (出典:新エネルギー財団 平成19年度 住宅用太陽光発電システム価格及び発電電力量等について ) 青い菱形が市場価格を示している。 市場価格の底値は2005年の66.1万円/kWで、その後は若干上昇に転じている。 ピンクの四角がNEF(新エネルギー財団=国)からの補助金額の推移である。 1kWあたりの補助金額は年々減少し、2005年度を最後に無くなった。 補助金を差し引いた、設置者が実際に負担した「実質価格」を緑の三角で示す。 補助金額の急激な減少に伴い、「実質価格」は既に2003年に底打ちし、その後は上昇に転じている。設置者にとって、既に2004年から値上がりが始まっていたのだ。 「補助金を止めた」以前に、「補助金を大幅減額した」時点で減速が始まったのも当然と言えば当然の結果であろう。 |
Fig.1−3 |
Fig.1−4は前出の国内出荷量と併せて、NEFの補助金を受けて設置された分を示している。 (出典:新エネルギー財団 年度別・都道府県別 住宅用太陽光発電システム導入状況 (導入件数・設備容量)がまとまりました(2007年度末時点) ) 国内出荷量の実に7割以上が国の補助金を貰って設置されていたことが分かる。 太陽光発電は「まだ補助金無しには普及しない未成熟の商品だった」と言えるのではないだろうか? 2005年度で普及推進策を止めてしまったのは時期尚早と言わざるを得ない。 |
Fig.1−4 |
もうひとつ、忘れてはいけない重要な出来事が2002年に起こっている。 RPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)の制定だ。 (2002年12月施行) 『電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法の運用に関する留意事項等(平成15(2003)年2月13日付けの経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長通知)』には、なんと、 『新エネルギー等電気相当量に係る上限価格は1kwh 当たり11円とする(なお、これをもって、太陽光発電又は風力発電(事業目的を有しないもの)の発電設備から販売電力料金単価で余剰電力を購入するすることを妨げるものではない)』 と記載されている。 電力会社が『自主的に』販売電力料金単価で余剰電力を購入するのは構わないが、原則的には1kwh 当たり11円と定めてしまったのだ。 各電力会社の余剰電力購入メニューにも、「販売電力料金単価で余剰電力を購入するのは、商業的に十分普及するまでの暫定処置」であることが書かれている。 つまり、いつの日にか、1kwh 当たり11円になってしまう可能性があるのだ。 この法律が、太陽光発電の設置意欲を少なからず削いでしまったと考える。 この法律にはさらに欠点がある。電力会社に対して、一定量の再生可能エネルギーによる電力の利用を義務付けているのだが、その目標値があまりにも低いのだ。 2010年までに達成するべき導入量は、年間122億kWh。これは全販売量のわずか1.35%にすぎない。そのため、再生可能エネルギーの利用促進どころか、むしろ利用を抑制してしまっている。 |
ここに興味深いデータがある。 Fig.1−5に、国内出荷量ともに、海外出荷量の推移を示す。 (出典:JPEA(太陽光発電協会)ウェブサイト、「統計・資料」) 2004年度、海外出荷量が国内出荷量を抜いた。 この2004年度とは、NEFの補助金が大幅に減った(−4.5万円/kW)年である。 パネルメーカーは、国内の普及推進策の後退を受け、国内市場に見切りをつけたのではないだろうか? また、2003年以降のユーロ高も欧州への輸出を促進したと思われる。儲からない日本で売るより、儲かる欧州で売る。「営利企業として当然の行動」だ。 まさに、「2003〜2004年度が転機だった」と言えるのではないか?! |
Fig.1−5 |
国の政策に歩調を合わせるように地方自治体の補助も伸び悩んでしまった。 Fig.1−6は、太陽光発電の導入を支援する自治体の数の推移である。 (出典:新エネルギー財団 2008年度 住宅用太陽光発電システム設置に対して支援する自治体について (平成20年6月24日 更新) 「2004年度をピークに」、支援する自治体数が減少に転じてしまった。これも普及が進まなくなった大きな要因と思われる。 平成の大合併で自治体数自体が減っている影響もあるかもしれないが、合併で吸収された自治体は元々財政が厳しかったであろうから、合併前に支援をしていた自治体の数は少なかったのではないだろうか? |
Fig.1−6 |
2.今後の展望−本当にこれで良いの?− |
さて、08年07月29日、福田内閣は、太陽光発電に対する補助政策を復活させ、技術開発と需要拡大で3〜5年で価格を半分にすることを閣議決定した。 後で詳しく考察するとして、以下の2点は強調しておきたい。 1)「価格が半分になることを期待して3〜5年待っても、期待はずれに終わる」 これはどう考えても無理だ。多少は安くなるかもしれないが半分にはならない。 2)「2008年(2008年度)は待ってみる価値がある」 補助金なのか、減税なのか、どんな支援策になるかわからないが、いずれにしても、「○年△月□日から●年▲月■日の間に設置したものに対して支援する」という期間を区切った政策になるのはほぼ間違いないだろう。 ということは、減税処置で早くて2009年1月から、補助金で早くて2009年4月からでないと、支援策は開始されないと考える。ちょっと待てばお得になるかもしれないなら買い控えるのは、「消費者として当然の行動」だ。 私は昨日(8/23)、ガソリンを満タンではなく10Lだけ補充した。9月になればガソリンが大幅に安くなるはずだから、必要最小限にとどめて買い控えた。 |
それでは、『福田ビジョン』の基となる、 総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会 「中間とりまとめ(緊急提言)案」 (http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?&BID=620208010) について、詳しく考察してみたい。 |
まず、驚いたのが、住宅用太陽光発電の設置に関して、新築住宅への設置しか念頭に無いような記載になっていることだ。 これから、家を新築し、なおかつ新築時に同時に設置するケースだけを、補助金やグリーン電力証書で支援していこうというもので、現在でも多数を占める既築住宅への新規設置を支援する姿勢が見られない。 前出の新エネルギー財団の 「平成19年度 住宅用太陽光発電システム価格及び発電電力量等について 」 には、全体のシステム価格だけでなく、既築住宅のシステム価格、新築住宅のシステム価格が掲載されている。それらの値から、全体に占める既築住宅の割合を算出することができる。その結果をFig.2−1に示す。 |
Fig.2−1 |
全体の7割以上が既築住宅への設置である。 この7割の存在を無視するかのような施策で普及拡大が実現できるとは思えない。 |
曰く、 『新エネ・ライフ定着のためには、コストがかかっても未来の地球のために投資するという国民の意識改革と、産学官の力を結集した技術開発、市場拡大等によって新エネルギーのコストを下げることが必要である。』 ドイツは、「国民よ、経済的メリットを保証するから投資せよ!」と言っているのに対し、日本は、「国民よ、損を承知で投資せよ!」と言っている。 「コストを下げる」といっても、普通の電気製品に比べて、販売や設置に多くの人件費がかかる商品である。液晶テレビや携帯電話のように機器の価格が下ればよいという単純なものではない。 要するに「国民とメーカーが頑張れ!」と尻を叩くだけで、政策でもなんでもない。 実際、総費用に占めるパネルの割合はどのくらいなのだろうか? 業界関係の方が、以下のような内訳を記載しているのを見つけた。 (引用:見積工場ブログ:http://blog.livedoor.jp/taiyokohatsuden/) ------------------------以下、引用-------------------------- 3kWシステムを現在の適正価格で販売すると見積り価格のブレークダウンはおおよそ以下の通りになります。 ・太陽電池モジュール 45% ・インバーター 10% ・設置架台 10% ・屋根及び電気工事 15% ・諸経費を含む粗利益 20% ---------------------------ここまで------------------------- パネル(太陽電池モジュール)の割合が半分以下と言うことは、パネルが無料になっても半額にはならないことを意味する。 メーカーだけが頑張っても無理で、販売会社・施工会社に大きな負担を強いなければならない。 |
曰く、 『技術開発に関しては、多結晶シリコン、薄膜シリコン(微結晶・アモルファス、アモルファス)、化合物型など、多種類の開発競争が進んでおり、また、モジュール化に関する研究開発・標準化等を推進し、大量生産、高信頼性及び設置・維持容易性を高めることによって、今後も価格低減が期待される。』 確かに結晶系シリコン以外の太陽電池の開発も進み、一部で商品化もされてきた。 しかし、結晶系シリコン以外の太陽電池は低コストではあるが、変換効率が低く、単位面積当たりの発電量が小さい。同じ定格のパネルを設置するためには、大きな設置面積が必要である。 つまり、都市部の屋根の小さな住宅には不向きである。 また、パネルの価格は下がっても、設置枚数が多いために、架台や工事の費用は逆に増える可能性があり、システム価格として短期間にどれだけコストダウンできるか疑問である。3〜5年で半分は無理だろう。 |
曰く、 『我が国は様々な検討の結果、技術開発、導入支援による需要拡大、電力会社による余剰電力買取等の自主的取組み、RPS法(2003年度〜)等によって、市場競争を活用し、トータルコストをできる限り抑えながら新エネルギー導入を進めており、一定の成果を上げている。』 私には見るも無残な結果としか思えないのだが・・・。 |
現在のところ、今後どのような普及推進策を行うのか、よく分かっていない。 補助金の復活という説もあれば、減税処置と言う説もあり、その両方ともいう。 どんな策であったとしても、「○年△月□日から●年▲月■日の間に設置したものに対して支援する」という期間を区切った政策になるのはほぼ間違いないだろう。 このような期限を区切った施策は、「いつ設置したか?」で支援を受けられるか否かが分かれ、必ず不公平が生じる。少なくとも2006年〜2008年に設置した人たちは、国からは何の支援も得られなかったことは紛れもない事実である。 08/08/27、経済産業省は2009年度予算の概算要求で、「家庭用太陽光発電の導入補助金」として「238億円」を計上した。補助金説が有力になってきたようだが、補助対象機種に一定のコストダウン条件を求めるという説もある。あまり複雑な制度にすると使いにくくて有効利用されない懸念もある。 ・補助金の問題点 もしも補助金を復活させるとしたら、「1.過去の失政」での考察から、1kW当たり10万円は出さないと、設置者の動機付けにはならないだろう。その際、心配なのは、補助金の一部が販売業者の利益に化けてしまうことだ。 補助金があると、販売業者は売りやすい。そして、よくあることだが、見積書の中で補助金を値引きと同等のように扱って、「こんなにお得ですよ」と言って売ったりする。つまり、思ったほど市場価格が下らない危険性が十分に考えられる。 ・減税処置の問題点 減税処置は、元々税金をたくさん払っている人にしかメリットが無い。現在、年収600万円の標準的な家庭では、住宅ローン減税の恩恵を満額受けられていないという。減税額は納税額が上限になるから、納税額が減税枠よりも少なかったら十分なメリットはないのである。つまり、減税策は所得が多い人だけが恩恵を受ける。 また、減税処置の場合、設置者は確定申告をしなければならない。これは面倒で負担である。さらに、確定申告が増えれば、税務署の仕事も増える。税務署はその負担増に耐えられるのだろうか? |
曰く、 『近年、ドイツの固定価格買取制度による太陽光発電の急激な導入拡大により、固定価格買取制度が注目されている。しかしながら、固定価格買取制度は、発電事業者間のコスト削減インセンティブが働きにくい、高価格での買取りを電気料金に転嫁するために電気料金の恒常的な値上げにつながるといった問題点が指摘されている』 あくまでも固定価格買取制度を否定している。 しかし、 結果的にドイツに抜かれたんだから、日本の政策はドイツに負けたのだ! その事実を真摯に受け止めて欲しい。高価格での買取りを電気料金に転嫁しないで環境税で補うなど、対応策はきっとあるはずだ。 ドイツと日本の政策の違いは、非常に大雑把に言えば、 『釣った魚にエサをやる(ドイツ)か、やらない(日本)か、の違い』である。 20年間、固定価格で買い取るドイツ。設置時に支援はするけど、後は野となれ山となれ、設置者の後々のことなんか知ったことではないという日本。 政府と電力会社のシナリオは見えている。仮に支援策によって太陽光発電が十分に普及したら、RPS法に基づいて、買い取り価格を1kwh 当たり11円以下にしてしまいたいのだ。そうなると、誰も元を取れなくなる。 まさに、『設置者を2階に上がらせておいて、下からハシゴをはずす』政策である。 このままの政策では、太陽光発電の設置に経済的メリットはほとんど無い! もちろん、「経済的メリットが無くても自然エネルギーの普及に役立ちたい」という方には是非導入して頂きたい。 |
3.売電単価引き上げ策の提案−価格転嫁は可能だ!− |
ドイツの固定価格買取制度の問題点として、買取コストの電力料金への価格転嫁が挙げられている。価格転嫁に対して国民の理解を得るのが難しいと言うのだ。 では、日本では実際にどのくらいの価格が転嫁されるのか??? そんな数字を探してみたのだが、私には見つけられなかった。 (ご存知の方、教えてください。) ドイツでは、年間消費電力3,500kWhの一般家庭が2010年に負担する年額は25ユーロと予測されるいう記載があった。現在のユーロ高の状況では、年額3,500〜4,000円くらいに相当する。2007/06/01に放映されたNHKスペシャル「低炭素社会に踏み出せるか〜 」でも、一ヶ月の負担額が確か約400円と言っていた記憶があるので、大きく違ってはいない。 さて、2007年度末に日本で稼動している太陽光発電の容量は、ざっくり見積もって145万kWh(多めに見積もっても200万kWh未満)、日照係数を1,000すると年間発電量は14.5億kWh。その70%を売電していると仮定すると、電力会社の買取量は約10億kWhと推定される。(多めに見積もっても15億kWhを超えていることはないだろう。) 電力各社の2007年度の販売電力量の合計は、実に9,654億kWhである。 さて、(自家消費を除く)売電価格は、東京電力の「電化上手」を例に取ると、税込で26.25円/kWhである。仮に90円/kWhを上乗せすると、116.2580円/kWhになる。 RPS法で定めた買取価格の上限が11円/kWhだから、116.25−11=105.25円/kWhを電力会社の過剰負担とみなす。 つまり、電力会社の電力販売価格+上乗せ分(α円/kWh)−11円/kWhを電力会社の過剰負担と定義する。 電力会社の年間買取量を約10億kWhとすると、電力会社の負担は約1052.5億円。 この負担分を電力価格に転嫁してみよう。年間販売電力量(9,654億kWh)で割り算すると、約0.11円/kWhの価格転嫁だ。 年間消費電力3,600kWh(300kWh/月)の一般家庭の負担増は、月に約33円、年間で396円と試算される。月にたった33円! 本当に理解が得られないのだろうか? 東京電力の2008年6月〜9月の燃料調整費(=価格転嫁)は、1.82円/kWh。4〜6月との差は0.47円/kWhで、1ヶ月当たり141円の負担増だが、暴動も起こさず(笑)、みんなおとなしく払っている!!! しかも、2009年1月からは、有無を言わさず月に約800円(年換算で9,600円!)もの価格転嫁をする予定というではないか! 0.11円/kWh(=33円/月)など屁みたいなものだと思うのは私だけだろうか? (一般家庭よりも産業界の反発が大きいのかもしれないが・・・。) |
2008年度の国内出荷量は、おそらく150MkWhくらい(ピーク時の約半分)まで落ち込むと予想している。2007年度末の稼動容量を145万kWhとすると、2030年に40倍になるには、国内出荷量が150MkWhを出発点として前年比プラス21%で20年間拡大し続けなければならない。 補助金政策で、20年間の拡大を実現できるとは思えない。かといって、繰り返しになるが、3〜5年でシステム価格半額も実現不可能だ。 国内出荷量の増加に伴う価格の低下は、前年比マイナス7%程度が現実的な線だと考えている。約10年後に半額になる計算だ。10年間の技術開発期間、国内出荷量が現在の約7倍という量産効果を考えれば、半額の実現性を誰も疑わないのではないか? いくつかの仮定に基づき、下記の各項目の今後の推移を予測してみた。 (表3−1) ・国内出荷量(150MWを出発点に前年比プラス21%) ・累積稼動量(2007年度末で1,450MkW) ・平均システム単価(70万円/kWを出発点に前年比マイナス7%) ・α(=買取価格の上乗せ分。私の勝手な提案。) ・導入時から13年間の経済効果 (自家消費:発電の30%[販売価格と同じ]、売電:発電の70%[販売価格+α]) (販売価格を税込で26.25円と仮定した) ・価格転嫁 ( (現行買取価格+α[円/kWh]−11[円/kWh])×買取量/販売電力量 ) (販売電力量は一定と仮定) ・標準家庭(消費電力300kWh/月)の負担額(月額、年額) |
表3−1 |
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システム単価の低下に伴い、上乗せ分のαを減額していく。2030年以降はマイナスとなり、2038年には-15.25円で、買い取り価格はRSP法どおりの11円/kWhとなる。 ただし、αを減額しても電力会社の買取量が増えるので、一時的に価格転嫁は増える。しかし、最大でも2032年に月額で207円、年額で2,484円である。 システム単価は年率マイナス7%の低下で考えているが、将来の技術革新によって予想より早く低下すれば、αをもっと早く減額でき、価格転嫁を抑えることができる。 13年間のkW当たりの経済効果は、購入時のシステム単価とほぼ同じになり、いつ購入しても約13年で元が取れる計算だ。現在の平均システム単価と売電単価では、元が取れるのに約26年かかるので、約半分に短縮される。 以上をまとめると、 ・約13年で元が取れるので、設置しようとする人は大幅に増えると予想される。 ・メーカーや販売業者にも無理の無いペースでコストダウンを求め、システム価格を 10年で半分、20年で4分の1にする。 ・電力会社の負担は増えず(もちろん買取は義務付ける)、将来的に買い取り価格 はRSP法どおり11円/kWhにできる。 ・国民の負担は最大時でも現在のドイツの約半分にしかならず、現在の東京電力 の燃料調整費(1.82円/kWh)の約3分の1で済む。 ポイントは、いかにして国内出荷量の前年比プラス21%を実現するかだが、私は買取価格(売電単価)に上乗せさえすれば、補助金などを導入しなくても勝手に需要は伸びていくと考えている。つまり、財政出動はゼロでも良いかもしれない! 自分としては、かなり現実的な案だと思うのだが、どうだろうか? 08年10月03日、経済産業省は電力料金の「燃料費調整制度」を見直すと発表した。 燃料費の電力料金価格への転嫁を制限するということらしい。 私が、現在も高い「燃料費調整額」を払っているのだから、「売電単価引き上げ」を価格に転嫁するのは簡単だ、と上述したことに対抗した処置である・・・はずはなく(笑)、おそらくは電力会社の関連企業から自民党に献金されていたことが明らかになり、電力会社に対して厳しい政策を取ることによって、癒着が無いことを強調するのが一つの狙いではないかと考える。 電力各社は09年1月に値上げを予定しているが、これについても値上げ幅圧縮を要請し、電力会社もこれに従うらしい。 東京電力の場合、1kW当たり約2.6円の値上げの予定であったが、値上げ幅は半分の1kW当たり1.3円程度になる可能性が高いと報じられている。 大雑把に計算して、1〜3月の値上げ幅が1.3円も圧縮された場合、東京電力の損失は1000億円近くになるはずだ。電力は公共性の高い事業で独占企業ではあるが、電力会社だって営利目的の株式会社である。その業績に多大な悪影響を及ぼすようなことを簡単に決めてしまって良いのか? という疑問を持つのは私だけだろうか? おかげで、10/3の電力株の価格は暴落した。株主の被る不利益はどうでも良いのだろうか? しかし、今回の件は、政府が頼もしい前例を作ってくれたとも考えられる。 電力会社の経営に不利になるような政策をいとも簡単に決定し、電力会社に従わせる力を日本政府が持っていることを証明したのだ。 東京電力が売電単価を25円引き上げても、その負担は年間で50億円程度であり、09年1月の値上げ幅圧縮で被る負担(1000億円)の5%程度だ。そのくらい認めさせられないはずがない。 もう、「売電単価の引き上げは電力会社の経営を圧迫し、電力会社から反発がある」などという理由は通用しなくなったのである。政府さえその気になれば、電力会社を押し切ることは可能だ。そして、政府を動かすのは「世論」だ! |
| 4.補助金は売電単価引き上げまでの繋ぎ −だからこそ急げ!2008年下期から実施せよ− (08.09.07執筆) |
08.09.07の新聞に、「経済産業省は、中小企業を対象とした太陽光発電システムなどの導入支援策を強化する。」という記事が掲載されていた。 中小企業が太陽光発電システムや太陽熱温水器を導入する際の補助の要件を緩和し、利用しやすくするというものだ。太陽光発電システムの場合は「50kW以上」を「10kW以上」とするそうだ。 私が最も注目したのは、「今年度当初予算から約50億円を振り向け、近く補助金の対象事業を公募する。」の部分である。 そう、今年度(2008年度)から実施するというのだ。約50億円をどうやって捻出するのだろう? という疑問はあるが、これは英断と言えるのではないだろうか? 私は、普及推進策として、「補助金がベストだとは思っていないが、何もしないよりは良いとは思っている」。少なくとも2004年度までの10万円/kWの補助金は普及推進に一定の効果があったと考えている。(ホント、やめなければよかったのに・・・) さて、50億円・・・・。2003年度、9万円/kWの補助金が出ていたときの年間予算規模が105億円、半期に換算すると52.5億円。それに匹敵する金額だ! 経済産業省さん! あと50億円、なんとかなりませんか? 中小企業向けだけでなく、一般住宅向けにも、2008年度下期から前倒しで助成できないだろうか? 10万円/kWの補助金で50MW分、5万円/kWの補助金で100MW分の補助ができる。前述のように、今年度の国内出荷量の私の予測は150MWであるが、買い控えが解消されて、2007年度の実績(210MW)並みになるのも不可能ではないと考える。 補助金というのは、10年も20年も継続して財源を確保できるものではない。やはり本命は売電単価の引き上げだと考えるが、短期間の導火線の役割としては補助金も有効な手段の一つだと思う。 ポイントは、早く実施すること。これに尽きるのではないだろうか? 「来年度から」などと悠長なことを言っている場合ではない。2008年度はまだ半分以上残っているのだ! |
| 5.資源エネルギー庁の資料から、その思惑を読み解く (08.09.20執筆) |
「新エネルギーの大量導入に伴う影響とその対応策について」 (平成20年9月8日 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部) http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g80908a04j.pdf という資料を読んでみた。 要約すると、「太陽光発電が順調に普及拡大した場合に、予想される問題点を挙げ、その解決方法のメリット・ディメリットを比較してまとめた」もので、「今後の対応のための調査費として6億円の予算を計上する」というものである。 太陽光発電が大量に普及した場合に新たな課題が出てくるであろうこと、そのために何らかの対策を準備すること、に関しては「まあ、そうだろうなあ」と思う。 ただし、大量に普及した時の検討も必要だけど、その前に本当に大量に普及させるための検討が不十分という気がするけれど・・・。 ところで、記載されている内容やその前提になっている数字は、私にとって注目すべきものがあった。この資料の主目的からは逸脱するが、それらの記載から、資源エネルギー庁の思惑を読み解いてみる。 1.基準は2005年 「中間とりまとめ(緊急提言)案」では、「2020年に『現状』の約10倍、2030年には約40倍を目標とする」とあり、『現状』とは「2007年度末」だと思っていたが、上記資料では、「2020年に2005年の約10倍、2030年には約40倍」が最大導入ケースとある。 そうか、『基準は2005年』の140万kWだったのか・・・。 「3.売電単価引き上げ策の提案−価格転嫁は可能だ!−」で、私は2007年度末の太陽光発電の稼動容量を少なめ(1450MW=145万kW)に見積もっていた。 「新エネルギーの大量導入に伴う影響とその対応策について」と私の前提条件は、出発点が約140万kWという点で、偶然(?)一致していた。 2.『目標』ではなく『最大導入ケース』? 「中間とりまとめ(緊急提言)案」では、「2020年に約10倍、2030年には約40倍を『目標』とする」としていたが、「新エネルギーの大量導入に伴う影響とその対応策について」では、『最大導入ケース』となっている。 『目標』→『最大導入ケース』・・・。 なんだかトーンダウンしているように感じるのは私だけだろうか? そのうち、『中間導入ケース』『最小導入ケース』などが登場し、いつの間にか『中間導入ケース』が『目標』にすり替わってしまわないか心配だ。 3.2009年度の『補助金』はほぼ間違いない? 最後の予算のページで、『住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金』として237円を掲げ、『高い普及効果が見込まれる住宅用太陽光発電システムの設備を導入する際に、当該整備設置者に対して定額の補助を実施する。』すると書かれている。 『助成』ではなく『補助金』と明記されており、何らかの条件がつくのかもしれないが、『補助金』であることは間違いなさそうだ。予算規模から考えると、2002年度の10万円/kWに匹敵する補助金額になる可能性もある。 「2008年8月12日 火曜日 日経エコロジー」の記事で、資源エネルギー庁新エネルギー対策課の渡邊昇治課長は補助金の復活を否定しているが、やっぱり補助金復活ではないか??? 4.ついに明かされた新築住宅偏重の中身! 2011〜2020年 ・新築戸建持家約30万戸/年の7割に導入 ・既築は5万戸/年に導入 2021〜2030年 ・新築戸建全体約50万戸/年の8割に導入 ・既築約25万戸/年に導入 えっ、2011〜2020年の既築住宅への設置は5万戸/年??? 2005年度の設置件数は、72,825件。その7〜8割(50,000〜58,000件)が既築だ。 つまり、2020年まで、既築住宅への設置は2005年と同等かそれ以下の水準のまま伸びない(伸びなくても良い?)という、とんでもない前提で考えていることがわかる。 それに比べて、新築戸建持家は約21万戸/年。2005年の10倍の水準。 『新築戸建持家』という表現から、建売住宅ではなく注文住宅(新規・建替え)を指していると思われる。建売住宅に最初から太陽光発電を設置するには無理があるので、当然、注文住宅が対象となることは理解できる。 しかし、注文住宅の7割に設置というのは、ほとんど強制的に設置させる法律でも作らない限り実現は難しいのではないだろうか? 国土交通省の「平成19年度住宅市場動向調査概要」 ( http://www.mlit.go.jp/common/000019412.pdf ) によると、新築住宅の中で太陽光発電の整備率がもっとも高い注文住宅の太陽光発電の整備率は9.4%に過ぎない。(分譲=建売住宅は1.1%) これを70%まで引き上げる具体策はどこにも書かれていない。(価格が半分になっても無理だろう) そもそも、新築戸建持家約30万戸/年もの着工数を2020年までずっと維持できるのだろうか? しかも、2021〜2030年は約50万戸/年を見込んでいる これから人口が減ってくるのだ。住宅購入層の数は確実に減っていくはずで、新築戸建持家の着工数は減って行くと考えるのが自然ではないか!!! 第2次ベビーブームが昭和46〜50年(1971年〜1975年)。その世代は現在33〜37歳で、既に住宅購入層のど真ん中だ。2020年には45〜49歳になっており、住宅購入層の中心ではなくなっている。その10歳下(1981〜1985年生まれ)の世代の人口は、第2次ベビーブーム世代の約7割に減少している。さらに、2030年の住宅購入層の中心である世代の人口は、第2次ベビーブーム世代の約6割に減少している。 日本政策投資銀行の「住宅市場の動向について」(08.03.28)によると、全国の住宅販売戸数は2006年を100として、2014年で85、2019年で87に低下すると予測している。 ( http://www.dbj.go.jp/japanese/download/pdf/indicate/no120.pdf ) 新築住宅への太陽光発電の設置は、住宅市場の動向に大きく依存しており、今後の少子高齢化と人口減を考えると、2011〜2020年に約30万戸/年の注文住宅着工数を見込むのはリスクが高すぎると考える。既築住宅への地道な普及拡大を怠るべきではない。 さらに不思議なのは、2021〜2030年は「既築約25万戸/年に導入」って、既築住宅への設置がいきなり5倍に増える計算になっているが、どうやったら急に5倍も増えるのか??? 5.2009〜2010年はどうなるのか? 「太陽光発電の導入シナリオ(最大導入ケース)」のページには、不思議なことに2011年からのシナリオは書かれているが、2009〜2010年については何も書かれていない。どうするつもりなんだろうか? どうなると予想してるのだろうか? 2009〜2010年はすでに捨ててるのか? もしかしたら、10年毎の区切りが良いからという単純な理由かもしれない(笑)が、「シナリオが2011年から始まっているのは、太陽電池メーカーによる次世代太陽電池の開発待ちという消極的姿勢」が透けて見える気がする。 |
| 6.2008年度下期 09年01月からの補助金政策に関する考察 (09.01.05執筆、09.01.25加筆・修正、09.02.01加筆・修正 、09.03.07加筆、09.04.06加筆、09.04.25修正) |
08年12月24日、08年度下期の補助金に関する告知がなされた。 概略は以下の通りである。 予算規模 : 90億円 想定件数 : 約3万5千件 募集期間 : 09/01/13〜09/03/31 補助金額 : 7万円/kW 価格条件 : 70万円/kW(税抜き)以下 「『70万円/kW(税抜き)以下』という価格条件がつけられるのではないか」と言う話は以前から新聞等で報道されていた。 それに対して、私のサイトの掲示板で、「パネルの方式や設置容量に依らず、一律に『70万円/kW(税抜き)以下』という価格条件を設けるのはいかがなものか?」、「設置条件に応じて価格条件を変えるべきではないか?」という議論がなされていたが、ふたを開けてみれば、やっぱり、一律に『70万円/kW(税抜き)以下』となってしまった。 『70万円/kW(税抜き)以下』というのは、厳しい条件だ。 まず、三洋(長州)のHIT(ハイブリッドタイプ)で、『70万円/kW(税抜き)以下』にするのはかなり難しい。ごく一部の販売会社しか実現できないだろう。 個人的には、HITは定格kW当たりの年間発電量が多結晶に比べて約1割多いのだから、『 さらに、多結晶タイプであっても、2kW以下の小容量の場合や、2面・3面といった複数面設置の場合にも、『70万円/kW(税抜き)以下』にするのは難しい。 結局、補助金の対象にならないケースがかなり多いと予想され、35,000件もの申請があるとは考えにくい。半分の17,500件行けば上出来だろう。下手すると10,000件程度に留まることも十分に考えられる。 これでは、大した普及推進効果は期待できないのではないだろうか? 一律に価格条件を設けるとしても、せめて『70万円/kW(税抜き)以下』ではなく、『80万円/kW(税抜き)以下』にすれば、かなり状況は違うと思うのだが・・・。 なんとも中途半端で使いにくい補助金であることは間違いない。 |
今回の補助金の受理件数を太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)のサイトで見ることができる。 http://www.j-pec.or.jp/06info.html (2/1修正) 予算90億円、約35,000件を想定した補助金で、募集期間は78日。このうち、土日祝日を除くと実質54日。単純計算すると、1日あたりの受理件数は約648件である。 1/23現在(実質9日間)の受理件数は2807件。約48%のペースである。 まだ始まったばかりなので何とも言えないが、順調に(?)予定の半分以下のペースで推移している。 受理件数なので、審査の結果、補助金が交付されない場合もあるだろうから、交付件数はこれより少なくなるのは確実だ。今後は「交付決定件数」も公開されるであろうから、その数字にも注目していきたい。条件が複雑なので、どのくらいの割合で審査に通るのかも興味深い。 今後、もっと伸びて半分を超える可能性はありそうだ。私は当初、もっと悲観的な数字を予想していたので、むしろ「意外に多いな」という感想を持っている。 そうは言っても、3ヶ月で販売件数:35,000自体が至難の業なので、交付件数:35,000は無理だろう。予算は余るに違いない。 |
1/30現在の受理件数は5,196に増加した。かなりのペースアップだ。この調子でいけば、交付件数:25,000くらいはいくかもしれない。 さて、私の掲示板の相談などを見ると、やはり補助金に価格条件があることで混乱が見られる。 まず、単価が70万円/kWを超えているのに「補助金が出る」と言う業者が少なからず存在するようだ。後になって、「やっぱり補助金は出なかった」とか、申請書類を偽装するなど、トラブルに発展しないことを願うばかりだ。 また、単価を70万円/kWにするために、エコキュート+IHヒーターに価格を上乗せしていると思われるケースも見受けられる。 買う側にとっては、今まで以上に知識が必要になってきた。 |
引き続き補助金の受理件数の推移を追いかけている。 上述のように、募集開始第2週〜第3週はペースアップして、25,000件くらい行くかもしれないという勢いだったが、その後またペースダウンしてしまった。 第6週〜第8週は、総定数(35,000件)ペース(648件/平日1日)の50%(324件/平日1日)のペースを割り込んでいる。 この調子で行くと、やはり約半分くらいに落ち着くのだろうか? 引き続き注視していきたい。 |
(09.04.06加筆、09.04.25修正) 2008年度の太陽光発電助成金申請が締め切られた。最後の2日で駆け込み申請が多かったためか、最終的に「 今回余った予算は、2009年度以降に繰り越せないのだろうか? 私は50%の17,500件いけば良い方だと思っていたので、もしも本当にこの期間で20,000件以上も売れたのなら、一応、予想を上回る健闘ではないかと評価する。 そもそも35,000件なんて、どう考えても無理なので、最初から半分の17、500件を超えるのか、20,000件を超えるのかが興味の対象だった。 ただし、気になる点はある。 1)募集開始前に契約し、募集開始を待っていた申請がどれだけ含まれるのか? 2)価格条件が無かったら、増えていたであろう申請件数はどのくらいか? 3)価格条件を満たさないのに書類を操作して申請した分がどのくらいあるのか? もしも上記1)が多かったとすると、結局は第3四半期の買い控え・設置控えを第4四半期で挽回しただけで、第3〜第4四半期トータルで、昨年度(約24,400件)に対する普及推進効果としては、せいぜい数千件程度に留まったとの懸念がある。 もっとも、08年度に前倒しで補助金政策を行わなかったら、買い控えが続いて、とんでもないことになっていたと予想されるので、何もしないよりもはるかに良かったのは間違いないが・・・。 2)も気になるところだ。価格条件が無ければ、もっとたくさん売れたのではないかと思うのだが、いかがだろう? 3)も気になる。70万円/kWをクリアできなくて、正直に諦めてしまったケースと書類を操作して貰えてしまったケース・・・。明らかに不公平で、「正直者がバカ見る」。 こんなことがあって良いのだろうか? 今回の補助金の問題点は、なんと言ってもその制度の複雑さにあると思う。助成を受けるための条件があまりにも多すぎる。特にkW当たりの税抜き単価が70万円以下という条件は本当に厳しい。 条件をつけないと財務省が首を縦に振らないという理由があるのかもしれないが、3〜5年でシステム価格を半分にするという目標に拘り過ぎている。「始めにシステム価格の半減ありき」という政策にはどうも納得がいかない。 条件をクリアするために、利益を削って疲弊するまじめな業者、手抜き工事をして何とか採算を取る業者、条件を満たすかのように書類操作をして補助金申請する業者・・・。どの道を選んでも不幸なことであり、決して太陽光発電の健全な普及にはつながらない。 価格条件を設けるのなら不正防止を徹底すべきだし、設置数(量)を増やすことを第一に考えるのなら、価格条件は無いほうが良いと考える。 ここに来て急激に普及推進の方向に舵を切ったのも、今後の価格低下を阻害する要因になりかねないと考える。減少した国内需要に合わせて輸出向け(薄膜系など)にシフトしていた国内メーカーの生産体制を国内向け(結晶系)に再び移行するのには時間がかかり、一時的に需給が逼迫する可能性がある。 2009年度の国の助成金の予算額が200.9億円。7万円/kWなので、定格容量287,000kW分の設置を見込んでいる。過去最高の2005年度が261,741kWだから、国の助成金対象分だけで、その1.1倍。仮に助成金の対象になるのが設置量の8割とすると、全設置量は2005年度の約1.4倍の定格358,750kWという計算になる。はたしてメーカーがそんなに生産できるのだろうか? 価格というのは需要と供給の関係で決まるものである。むしろ実勢価格が上がる可能性も否定できないのだ。それを助成金の条件でコントロールしようとすること自体に無理がある。結局は期待するほど設置量は増えないし、補助金の予算も余るのではないかと危惧している。 やはり政策の継続性は重要で、急に助成策を講じたからといって簡単には普及しないと考える。メーカーだって、継続的な推進策が保証されないと安心して生産量を増やせないと思う。 例えば、エコキュートの補助金は継続的に実施されている、補助金の金額は年々減っているが、継続的な助成策が功を奏し、市場価格は確実に下がっている。「高くても売れるための助成策」を継続的に実施し、継続的な需要拡大が確保できて、はじめて「価格の低下」につながるのだと考える。 『3〜5年でシステム価格半減』などという性急な目標を掲げ、短期的な補助金政策を行うのではなく、息の長い普及推進策を行うべきではないか。目的は『価格を下げること』ではなく、『太陽光発電を普及させること』ではなかったのか? ボッタクリ悪徳業者の排除は、普及政策ではなく、消費者保護政策として別途行うべきと考える。それこそ、『消費者庁』を創設して徹底的にやれば良いのではないだろうか? |
| 7.ついに「本命・売電単価引き上げ」の実現か! (09.03.07執筆、09.04.06加筆、 09.04.07加筆、09.04.08加筆、 09.04.12加筆、09.06.13加筆、09.07.12加筆、 09.07.26加筆 09.08.09加筆、09.09.28加筆) |
09年02月24日、経済産業省は「太陽光発電に関する新たな買取制度の新設」を発表した。 http://www.meti.go.jp/speeches/data_ed/ed090224j.html 約10年間にわたって、電気事業者が(当初は)現在の2倍程度の価格で電力を買い取る仕組みを考えているとのことである。 ちょっと前まではRPS法一点張りで、「買取単価の引き上げなど眼中にない」かのようだった経済産業省の方針転換には、正直言って非常に驚いた。 ドイツなどの固定買取制度と異なるのは、自家消費分を超えた余剰電力量についてのみに適用される単価であり、自家消費分については今まで通り購入電力単価と同程度ということらしい。 余剰電力だけではあるが、太陽光発電の普及にとっては大きな一歩だと思う。 このページの第3章で、私は「売電単価引き上げ策の提案」をしている。 まさに、自家消費分を超えた余剰電力量についてだけ単価を上げることによって、設置者の経済メリットを増すとともに、各家庭での電気代負担増を最小限に留めるというものだ。 なんだか真似されたような気分だと言ったら、自惚れすぎだろうか?(笑) いずれにしても、ぜひ、実効性の高い制度を実現して頂きたいと思う。 この章では、今後、この新しい制度に関する情報収集や考察をしていきたい。 |
| 『太陽光発電の新たな買取制度』の内容は?(09.04.06加筆) |
新しい制度がどのような考え方で、どのような制度にしようと考えているのかを知るには「『太陽光発電の新たな買取制度』について」に対する意見募集のページ http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=620209003&OBJCD=&GROUP= から、”「太陽光発電の新たな買取制度」について”と”参考資料”をダウンロードしてじっくり読むことをお勧めする。 そして、意見募集に対して、ぜひご自分の意見を述べて頂きたい。 意見がどの程度反映されるかは分からないが、問題点の指摘や要望の提出をしておかないと、一般人が意見を言う機会はもうない。 多くの方々がご自分の意見を提出してくださることを望んで止まない。 郵送、FAX、電子メールにて受付。 締め切りは、09年04月17日。 電子メールでの意見提出方法について(09.04.07加筆) 担当課に電話で確認したところ、 ・Word等で同様のフォーマットを作成して記載しても構わない。 ・1枚に書ききれない場合には、別紙を添付しても構わない。 とのこと。 提出方法の詳細は、上記URLから”意見公募要領”を参照のこと。 さくらココ様が作成して下さった、Wordのフォーマットはこちら↓ http://homepage3.nifty.com/sakuracoco/090417public-comments-form.doc |
今後、私が資料を読んで感じた事、意見したい事などを述べていく予定。 |
| ”「太陽光発電の新たな買取制度」について”と”参考資料”に対する私見 (09.04.08加筆) |
1.賛成する点 まず、今まではRPS法(買取義務量の固定)一本やりで、買取価格を電力会社の自主的な取り組みに任せていたのに対し、「太陽光発電について、『非常に安定的な低リスクインセンティブ』を付与するため、これまでの導入促進施策を補完する新たな制度を含めた総合的な取組みを集中的に実施していくことが必要である」との認識になったことは評価したい。 『既に導入されている太陽光発電については、過去に導入した者への配慮の観点や制度開始前の当面の「買控え」の防止などを配慮して、買取対象に含めることを基本とするべきである』との考えにも賛成である。 私は「既設を見捨てない」ことの心理的効果が普及を進める大きなカギだと考えている。「既設を見捨てる」ということは、これから設置する人に「自分もいつ見捨てられるかわからない」という漠然とした不安を与え、購買意欲を鈍らせるのではないだろうか。 また、太陽光発電所長の一人としては、自家消費分も高く買い取ってくれるに越したことはないが、「電力需要家に求める負担を極力抑えるべきことなどを勘案し、「太陽光発電」の自家消費を超える「余剰電力」に限定することとする。」のも『現実的な選択』だと考える。 理由の一つは、自家消費分を高く買い取るためには、自家消費分の環境価値に対して認定されるグリーン電力証書と同じく、「計量法」の問題を避けて通れないからである。つまり、自家消費分の電力量を売買するためには、計量法に準拠した電力量計で発電量を測定する必要があり、メーカーの発電モニタに加えて新たに発電量計を設置しなければならない。 これは設置者に対して新たな経済的負担を強いるとともに、計量法に準拠した発電量計が(特に既設の)太陽光発電所の全てに設置されるまでに相当な時間がかかり、自家消費分を含めることで、せっかくの買取制度をすぐに実施することが困難であることが容易に予想される。 「余剰電力」については、現在もすでに電力会社が設置した計量法準拠の売電メーターで測定しているので、新たなメーターの設置は不要である。 2.反対する点 「買取価格については、設置する年度毎に低減させていくものとし、3〜5年以内にシステム価格を半額程度にすることを目指して設定していくこと」 には異議あり。10年くらいのスパンで考えるべきと思う。 何度も主張しているように、太陽光発電は工事を伴うのでパネルの価格が下れば良いというものではない。無理やり下げれば、販売業者・施工業者に大きな負担を強いることになり、普及を妨げることにもなりかねない。工事費を含めて半額に下げるためには工法の新規開発も必要で、とうてい3〜5年で実現できるとは考えにくい。 私が最も恐れているのは、統計処理のマジックで3〜5年後に、『システム価格が半分になりました』という結果を無理やり出して、3〜5年後に買取価格を半分にされてしまうのではないかということだ。 「最長15年程度で投資回収が可能となるよう、10年程度の期間を目安に買取期間を設定する」ことに異議あり。 『15年で投資回収』なら『15年の買取期間』が普通でしょう! なんで10年の買取期間なのか、根拠が分からない。 「(参考1) 太陽光発電の導入シナリオ(最大導入ケース) (試算)」の 「2011年〜2020年 新築戸建持家約30万戸/年の7割(=21万戸/年)に導入、既築は5万戸/年に導入」に異議あり。 なぜ、既築住宅への設置はたったの5万戸/年で増やそうとしないのか? 新築30万戸/年を見込むこと自体に無理があると思うし、その7割にも太陽光発電が設置されるなどという見通しは、どうやったら出てくるのか? 『新築住宅に太陽光発電を設置しなければ罰せられる』くらいの法律でも作らない限り無理だろう。非現実的だ。 私は既築住宅にいかにたくさん設置するかが、鍵だと考える。 これから出来るかもしれない屋根の7割に設置するよりも、既に存在する屋根の5%に設置する方がはるかに簡単だと思うのは私だけだろうか? 3.気になる点(09.04.12加筆) 「10年間程度、買取単価を高く設定する」としているのだが、その期間が過ぎたら買取単価はどうなるのだろうか? 資料を見ても、その辺のことがイマイチ良く分からない。 まさかRPS法通りに、11円/kWhになってしまうなんてことは・・・??? 固定期間終了後でも、少なくとも購入単価を下回らない買取単価を続けて欲しいと考える。これも意見として述べたいと思う。 |
| 固定買取期間が過ぎたら、売電単価はどうなるのか? (09.06.13、加筆) |
前項の「3.気になる点」で述べたように、固定買取期間が過ぎたら、売電単価はいったどうなるのだろうか? 実は、現在のように「買電単価とほぼ同等」にはならない可能性がある。 「総合資源エネルギー調査会・新エネルギー部会(第33回)」 (議事要旨: http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004405/index33.html) (参考資料: http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g90326a04j.pdf) において、 『「参考8」の資料に示されている既築住宅の例における「11年目以降の買取り」については、現行の買取価格の水準で買い取ることを前提としていると理解できるが、その水準での 買取を電力会社として約束したことはない。これを前提とされないように削除していただきたい。 』 との意見が出された。 そして、「『太陽光発電の新たな買取制度』について」に対する意見募集のページからリンクされている参考資料では、そのページは削除されていた。 このことから分かるように、電力会社としては、「10年間の固定期間終了後の売電単価は、買電単価と同等ではなく、もっと安くなる制度にしたい」と考えているようだ。そして、経産省もその意向を無視できなかったらしい。 もしかしたら、RPS法どおり、11円/kWになる可能性もあるのだ。 |
| 現在審議中の法案の内容って? ( 09.06.13、加筆) |
第171回国会で審議中の議案の内容をネットで見ることができる。 衆議院>議案(http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm)の 「閣法の一覧」、 「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案」 の「本文」をクリックすると法案の全文が表示される。 詳しい内容は各自で読んで頂きたい。 この法案には、「買取価格をいくらにするか」、「固定買取期間を何年にするか」、「買取コストを電気料金にどのように転嫁するか」、などの具体的なことは一切書かれていない。 この法案が成立したところで、詳しいことは、な〜んにも決まらないのだ。 非常に大雑把にまとめれば、この法案は、 「再生可能エネルギーの普及を推進します。詳しい事は経産省が決めます。」 たったそれだけだ。 つまり、「買取価格をいくらにするか」、「固定買取期間を何年にするか」、「買取コストを電気料金にどのように転嫁するか」などの具体的な政策は全て経産省の胸三寸であり、その内容は国会では一切審議されない。 つまり、経産省がいかに良い制度設計をするかにかかっているのだ。 こんな重要な政策なのに、「経産省に任せます。国会では審議しません。」という法案を成立させて良いのだろうか? これは穿った見方かもしれないが、経産省はこの法案が国会を通過するまでは詳細な内容を決めない(公表しない)のではないかと思う。下手に詳細を出すと反対されるかもしれないからだ。成立した後に「思い通りに」進めるのではないだろうか? 先日、「この法案を今年中に施行するよう努力する」という報道があった。 ということは、それまでに詳細を決めるということになる。今後も注意深く見守っていきたいと思う。 |
| 法案可決、いよいよ詳細な内容が議論される! ( 09.07.12、加筆) |
5月25日に開催された「総合資源エネルギー調査会・新エネルギー部会(第35回)」において、「買取制度小委員会」が設置されることが決定されている。この小委員会で新制度の詳細を話し合い、新エネルギー部会に提案するというものだ。 「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案」の可決後、第1回目の会議を速やかに開催するということになっている。 7月1日に上記法案が参議院で可決されたのを受け、1回目の会議は7/9に開催されたようだ。いよいよ、売電単価、固定買取期間、価格転嫁の方法などの詳細議論が始まる。これからが本番だ! まだ審議内容は公開されていないが、とても気になるところだ。 |
| 『買取制度小委員会』での検討内容 −その1− (09.07.26加筆) |
7月9日と、7月23日に『買取制度小委員会』が開催された。 それぞれの資料は、 http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/8.html からダウンロードできる。詳細は各自でお読み頂きたい。 この中で私が特に注目した内容について、以下に述べる。 1.買取単価は『48円/kWh』で検討されている 第1回(7/9)の「太陽光発電の新たな買取制度について」 ( http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g90709c04j.pdf ) の13ページの記載によると、買取単価は『48円/kWh』を考えていることが分かる。「現状49円/kWh(2007年度)となっている太陽光発電の発電コストを勘案した水準」としては、妥当な線ではないかと考える。 2.『モデルケースは新築住宅』を想定している 同じく13ページに「モデルケースにおいて、10年〜15年程度で投資回収が可能となると考えられる」との記載があるが、このモデルケースというのが腑に落ちない。14ページに記載されているモデルケースは、「新築住宅」の場合のみであり、「既築住宅」が想定されていない。 「太陽光発電システム価格は平成21年1月〜3月に受理した補助金申請実績に基づき試算。なお、システム設置に係る金利・メンテナンス費用や設置後に発生する修繕費等は考慮していない。」 おい、おい、「平成21年1月〜3月に受理した補助金申請実績に基づき」って、税抜70万円/kW以下で購入できたケースだけの実績に基づいて計算した(しかも新築の)システム価格が「モデルケース」なのかよ? システム価格のモデルケースが『税込52.9万円/kW』なんて、全く実態に即していないのは明らかだ! しかも、大部分の人はローンで購入しているのに金利が考慮されていない。 3.コスト回収は「住宅ローン減税の対象+自治体補助金」が前提 次に、同じく14ページのコスト回収の内訳を見て驚いた。国の補助金7万円/kWを前提としているのに異論はないが、『住宅ローン減税』を受けられることが前提となっているのには異議あり! 新築住宅を前提としているのだから当然なのかもしれないが、既築住宅の場合、省エネリフォームと同時に設置しないと減税の対象にはならない。それなのに、住宅ローン減税(約19万円)を前提としたモデルケースには納得できない。 さらに驚いたのは、「グリーン電力価値(自家消費分の環境価値5円/kWh)、 自治体補助(平均で3.8万円/kW)で合計約20万円回収できる」ことが前提となっている。 えー、本当!? 補助金出していない自治体の方が多いんじゃないの? グリーン電力証書を売るためには別途契約が必要だし、計量法に準拠した発電メーターを設置しなければならないが、その費用は考慮されていない。 なお、『電気料金節約額(10年間の合計)約35万円』というのは、ユーザーの節電努力のことかと思って、一瞬キレそうになった(笑)が、これは自家消費の経済効果のことを指しているものと思われる。そうだとすると妥当な金額だ。 しかし、もう少し分かりやすい表現にして欲しいが・・・。 上記、2.と3.で述べた通り、『システム価格とコスト回収のモデルケース』は全く滅茶苦茶である。このモデルケースに当てはまるケースはどのくらいあるのだろうか? 『始めに固定買取期間10年ありき』で、それに合うようにモデルケースを設定したとしか思えない。(私は『固定買取期間は15年とすべき』と考える。) そして恐ろしいことに、『議事概要』を読む限り、このモデルケースについて、異議を唱えた委員は一人もいない。 せめてもの救いは、 「パネル設置者にとって、何年で『もとがとれる』かということを考える際に、将来の買取価格をどのくらい低減させるかという水準の情報が与えられる必要がある。そうしないと、(パネル設置者は)正確な意思決定ができない。情報をできる限り与える必要あり。」 という意見が出されたことだ。 「固定買取期間終了後の単価がどうなるのか?」は設置者の大きな関心事である。是非、この点について、考え方を明確に示してもらいたい。 |
| 買取制度小委員会『買取制度の詳細設計について』取りまとめ(素案) に関する意見(パブリックコメント)募集 (09.07.26加筆) |
下記のURLで、買取制度小委員会『買取制度の詳細設計について』取りまとめ(素案)に関する意見(パブリックコメント)募集を行っている。 http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=620209012&OBJCD=&GROUP= 内容は、7月9日と、7月23日に開催された『買取制度小委員会』の資料をまとめたものである。 意見がどの程度反映されるかは分からないが、問題点の指摘や要望の提出を行う良い機会である。多くの方々がご自分の意見を提出してくださることを望んで止まない。 郵送、FAX、電子メールにて受付。 締め切りは、09年08月22日。 |
| 『買取制度小委員会』での検討内容 −その2− (09.08.08加筆) |
◎2年目の買取単価は42円/kW??? 第2回(7/23)「議事要旨」 http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004601/index02.html にとても重要なことが記載されている。 「2年目以降、低下させる買い取り価格の水準:2年目の住宅用買取価格は 42円/kWh程度。正式には来年度の小委員会で決定する。」 この制度では、固定買取単価を年々下げていく事は周知の通りであるが、 1.買取制度小委員会で毎年決定する。 2.2年目の単価の目安として42円/kWhが考えられている。 ことが明らかになった。 1年目の48円に対して2年目が42円。前年比87.5%。単純に計算すると、 0.875×0.875×0.875×0.875×0.875×0.875=0.513 そう、5年間で約半分、買取単価は6年目から約半分(約24.6円/kWh)になることが「シナリオ通りに」想定されているのだ。 ちなみに・・・。 0.513×0.875×0.875×0.875×0.875×0.875×0.875=0.263 11年目からの買取単価は、約4分の1の「12.6円/kWh」になるのだろうか? ということは、10年間の固定買取期間が終了した人たちの買取単価は、 「12.6円/kWh」と同等かそれ以下になるの??? |
| 『新しい買取制度』の内容決定 (New!09.09.28加筆) |
前述のパブリックコメントは、8月22日に締め切られた。「思ったほど意見の提出数が多くなかったな」というのが素直な感想である。 いろいろな指摘があったが、結局は買取制度小委員会でまとめた素案通りの買取制度に決定された。提出意見数が1000件くらいなければ、パブリックコメントなんてのはガス抜き程度なのかな・・・? 決定した内容は、以下の通り。 買取開始日 :平成21年11月1日 初年度申込時期 :平成22年3月31日まで 初年度買取単価 :48円/kWh(住宅用) 39円/kWh(住宅用、自家発電設備併設) 24円/kWh(非住宅用) 20円/kWh(非住宅用、自家発電設備併設) 固定買取期間:買取開始月から120ヶ月(10年) 2年目以降単価:毎年「買取制度小委員会」で決定する (3〜5年で半額を目標とし、毎年低減。2年目は42円を目安) 固定期間終了後の単価:未定 私としては、 1)買取期間をもっと長くする(12〜15年程度) 2)買取単価の低減をもっと緩やかにする(7〜10年で半額) 3)固定期間終了後の単価を購入電量料金と同等にする の3点を変更して欲しかった。 1)買取期間 設置者の大きな関心事の一つは、『元が取れるか?』だと考える。 みんながみんな身銭を切ってまで、CO2削減に貢献しようという意識の高い人ばかりだとは思えない。『儲からなくても良いが、損はしない』ことが重要だ。買取期間が10年では、その時点で元が取れないケースは多い。固定期間内で元が取れることが、購入動機につながると考える。 2)買取単価の低減 初年度は48円という魅力的な単価なので、設置数が急増しているが、2年目の目安が42円・・・。42÷48×100=87.5%。1年でそんなにシステム価格が下るとは考えにくい。5年で買取単価を半分にして、はたして2年目以降も継続して設置数が急増するのだろうか? 3)固定期間終了後の単価 これも設置者の大きな関心事の一つだ。固定期間終了後にどうなるのか分からないのでは安心して導入できない。社会保障問題と同様に、将来の不安を無くすことで、導入が進むと考える。 内容に不満はあるが、やらないよりはずっと良いし、来年度からの予定を前倒しで実施するのは評価できる。まあ、とりあえず良しとしよう・・・。 |
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8.2009年度の補助金政策に関する考察 |
2009年度の国の太陽光発電の補助金に関する概略は以下の通りである。 予算規模 : 200.5億円 想定件数 : 約8万4千件 募集期間 : 2009/04/01〜2010/01/29 補助金額 : 7万円/kW 価格条件 : 70万円/kW(税抜き)以下 1件当たりの設置容量が平均で3.41kWという想定である。2007年度の設置実績では、全国平均で1件当たり3.59kWなので、そんなにかけ離れた数字ではない。 まあ、妥当な線と言えよう。ただし、1件当たり3.59kWで申請されると、ちょうど8万件くらいで予算枠が無くなる可能性もあることは留意しておきたい。 募集期間が10ヶ月で想定件数が約84,000件ということは、1ヶ月当たり8,400件のペースということになる。4月、5月の申請数をまとめてみた。(下図参照) 4月の受理件数:2,989件、5月の受理件数:6,770件、5月末の累計:9,759件 出足は想定数ペースを大きく下回っている。 一部の販売会社(一部の営業マン?)は、「国の補助金の枠が半分埋まった」、「あっと言う間に埋まりそうだ」というセールストークをしているようだが、そんなことは全く無い。 ただし、4月、5月は特殊要因もあるので、実は比較的順調なペースで申請されているのではないかと考えている。 4月は1日から募集開始されたが、申請書類の書式が公開されたのも1日なので、4月上旬に申請するのは実質的に不可能に近かったと考えられる。また、3月に駆け込みでかなり販売数が伸びたようなので、4月にはその反動もあったと思われる。 5月はGWがあったので、上旬の販売台数が伸びなかったのではないだろうか? 5月11日〜31日に限って言えば、1ヶ月当たりに換算して約7,900件のペースで推移している。今後も約8,000件/月のペース(ほぼ総定数ペース)で申請数が伸びていくものと考える。 |
引き続き、申請受理件数の推移を追ってみた。 図に示したように、6月は初めて想定数ペースを上回り、堅調に増えていることがわかる。これは5月後半から、さらにペースアップしている。 まだ4月・5月の出遅れをカバーしているわけではないが、引き続き推移を見守っていきたい。 |
引き続き、申請受理件数の推移を追っている。 7月の受理件数は、想定件数ペース(約8400件/月)を大幅に上回り、11,000件を超えた。これで4月、5月の出遅れをほぼカバーし、累計で30,000件を上回った。 (下図参照) 私にとっては、ちょっと予想外のペースアップである。その理由を考察してみた。 私が、1ヶ月で1万件を超える程にまでペースアップはしないだろうと予想していた主な理由は以下の2点である。 1.税抜70万円/kWの価格条件を満たせるケースばかりではない。 2.パネルメーカーの供給が追いつかない。 上記1.については、掲示板やメールで相談される見積例を見ると、太陽光発電の値引き分の一部が明らかにオール電化の価格に転嫁されていると思われるケースが少なからず見受けられ、セット販売によって見かけ上は価格条件(税抜70万円/kW)を満たしているのだと考えられる。 エコキュートの補助金申請数が、想定よりも伸びていることが、セット売りがかなりの割合を占めている裏づけになっているものと思われる。 上記2.については、掲示板などの情報から、実際にパネルの供給が追いつかず、納期が長くなってきていることは間違いなさそうだ。しかし、納期がかかるのは承知の上で(むしろ、今後はもっと入手困難になるかもしれないと考えて積極的に)契約する人が多く、その結果として契約数(申請数)は順調に伸びているのではないかと考える。 規定(既築住宅では申請日から3ヶ月以内)の範囲内で、申請日から完工日までの日数が伸びている模様で、申請数は大幅にペースアップしているが、着工数や完工数は、申請数ほどのペースでは増えていないと推測される。 5月前半くらいまでは、「交付決定通知書」が届くのを待ってすぐに着工するケースが多かったようだが、最近は「交付決定通知書」は届いているが、着工はパネルの入荷待ちというケースが多くなって来ているようだ。 今後、パネルの納期が益々長くなる可能性があり、パネルの平均納期が3ヶ月以上かかるようになれば、申請数のペースは落ち着くのではないだろうか。 もう一つ、私が当初考えていなかった要因が、この時期のペースアップに寄与している可能性がある。それは、自治体の補助金の枠である。 東京都の巨額予算は別として、多くの自治体の補助金枠は国の補助金ほどの余裕は無い。従って、自治体の補助金枠がなくならないうちに、ダブル・トリプルで補助金をもらうためには、購入者はのんびり構えている時間的余裕がなかった、という事情がありそうだ。 逆に言うと、自治体の補助金枠が全てなくなってしまうと、その後は国の補助金の申請数(≒契約数)もあまり伸びないという事態が起こるかもしれない。 引き続き、今後も申請数の推移を見守っていきたい。 |
引き続き、申請受理件数の推移を追っている。(下図参照) 8月も想定数ペース(84,000件)を大きく超え、10,000件を上回るペースで申請受理件数が増加したが、7月よりは多少ペースダウンした。お盆休みが入った影響だろうか? 8月末時点での申請受理件数の累計は約42,000件に迫る勢いで、想定数(84,000件)の約半分に達し、4月と5月の出遅れを完全にカバーした。 このままハイペースが続けば、予算枠が1月まで持たない可能性が出てきた。 売電単価48円が11月1日から実施されるとの発表を受け、9月も順調に申請数は伸びるものと推測する。 懸念はやはり、「納期が間に合うか」ではないだろうか? 今後も推移を見守っていきたい。 |
引き続き、受理件数の推移を追っている。(下図参照) 8月はお盆休みの影響なのか7月よりも受理件数が減ったが、9月はまた増えて月に11,000件を超えた。 このペースが続くと年内に予算枠に達する可能性が高くなってきた。 |
そこで、受理件数の推移をもう少し詳しく分析してみた。(下図参照) 下図は累積申請受理件数の推移である。 赤い線で示すように、ほぼ2次関数的に増加している。 このままの勢いで増加していくと、当初想定数84,000件(3.41kW/件)として12月上旬、1件当たりの設置容量が当初想定より1割多い3.75kW/件と仮定した76,000件として、11月中旬に予算枠に達するという予測になる。(あくまでも予測!) 募集期間は2010年1月29日までだが、いずれにしても年内に枠は無くなりそうな勢いである。 しかし、だからといって焦りは禁物。1社即決はお勧めしない。 今後も推移を見守っていきたい。 (国の補助金が終わってからの反動がどうなるのかも興味深い) |
引き続き、受理件数の推移を追っている。(下図参照) 10月は14,000件を超える物凄いペースで伸びた。「枠が無くなりそう」、「11月から買取単価が上がる」などの理由で駆け込み申請が増えているようだ。 このペースが続くと、早くて11月中、遅くても年内に予算枠に達するのではないかと予想すされる。当初、予算が余るのではないかと予測していたのだが、幸か不幸か(?)見事にハズレそうである。 |
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| 9.民主党の『全量固定買取制度』に関する考察 (09.09.28執筆、New!09.11.08加筆) |
政権を取った民主党のマニフェストには、太陽光発電だけでなく、風力発電などを含めて『全量固定買取制度』が掲げられている。 ここでは、住宅用太陽光発電の普及推進策に絞り、それ以外の再生可能エネルギーについては、とりあえず横に置いて考察していきたい。 直嶋正行経済産業相は、「余剰電力を想定した固定価格買取制度」を予定通りスタートさせ、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー全般を対象とする固定価格買取制度について「できるだけ早く議論して制度設計して実行したい」との考えを示した。具体的な実施時期については「なるべく2年以内に、という気持ちは持っている」と語った。 とのことで、11月からの余剰電力買取制度は予定通りスタートするようだ。 マニフェストの早急な実施に拘らず、現実路線を選んだことを歓迎する。 『太陽光発電以外も含めた全量』固定買取制度の設計に時間がかかると考えているようで、ちょっと安心した。 しかし、『全量固定買取制度』を本当に2年後に実施できるのだろうか? また、『余剰電力固定買取』を『全量固定買取制度』に変えることで、住宅用太陽光発電の普及にどのくらいの効果があるのだろうか? 『全量買取』を実施するためには大きな課題がある。 11月から始まる今回の制度が発表(2月)から僅か9ヶ月で実施に漕ぎ着けることができたのは、計量法やグリーン電力との整合性に踏み込まずに済む「余剰電力」に限ったからだと考える。だからこそ、電力会社の協力も得られたのではないだろうか? 『全量買取』は、制度設計自体が難しい上に、その制度を実施するために実行しなければならない施策も多い。 1)計量法との整合性 何かを取引する際の計量には、計量法に準拠した精度の計量器を使うことが義務付けられている。現在、余剰電力を買い取る際の売電メーターは計量法に準拠したものであり、電力会社がそのメーターの値を基に余剰電力を買い取ることは、計量法上、何ら問題はない。 しかし、全量買取となると、『発電量』を計量法に準拠した計器で量る必要が出てくる。太陽光発電メーカーが販売している、いわゆる発電モニターは計量法に準拠していないので、発電モニターの示す値を以って電力を売買することは、計量法上許されていない。 従って、何らかの処置が必要になる。 一番単純に考えれば、全ての太陽光発電に計量法に準拠した発電量計を設置するということだ。新たな電力量計を設置しなくても、配線を変えればよいという説もある。いずれにしても、太陽光発電が既に設置されている約50万戸に何らかの工事が必要となる。 その何らかの工事の費用はどのくらいかかり、誰が負担するのか? また、約50万戸の工事を終了するのにどのくらいの時間がかかるのか? 別の方法も考えられる。「再生可能エネルギーには計量法を適用しない」という法律を作ってしまうのだ。私自身、再生可能エネルギーだけを特別扱いするのはいかがなものかと思うし、各業界からの反発は必至だろうが・・・。 仮にそのような法律が成立して、いわゆる発電モニターの値が使えるとしても、今度は検針が大変だ。売電メーターは、買電メーターと共に屋外に設置されているから、検針員は家人が留守だろうがメーターを見ることができる。 しかし、いわゆる発電モニターは屋内に設置されている。毎月、検針員が屋内まで入って検針するのか、あるいは設置者の自己申告なのか、毎月発電モニターの写真を撮って送るのか・・・? 電力会社はどうやって発電量を把握するのだろうか? その運用が難しいと思う。 2)自家消費分のグリーン電力証書との整合性 全量固定買取する場合、自家消費分の環境価値も買い取られることになると考えられるので、現在売買されている自家消費分のグリーン電力証書は環境価値のダブルカウントになり、存在が許されなくなるのではないだろうか? つまり、「全量固定買取=自家消費分のグリーン電力証書の廃止」になるのではないかと考える。 この影響は甚大だ。グリーン電力証書の認証や売買代行を行っている企業や団体は潰れるかもしれない。 東京都の太陽光発電に対する助成策も根底から覆る。東京都の補助金は自家消費分の環境価値の譲渡と引き換えに補助金を支給し、その環境価値を企業などに売って新たな助成策の財源にする構想だ。その前提となる「自家消費分のグリーン電力証書」が無くなってしまうかもしれない。 例えば、自家消費分のグリーン電力証書を既に保有しているが、まだ販売できていない人がいたとしよう。自家消費分のグリーン電力証書制度が無くなると、ただの紙切れになってしまう。その財産権はどうなるのだろうか? 以上のように、『余剰電力限定』から『全量』に変更する場合、太陽光発電の環境価値の扱い方自体の見直しが必要で、それに伴う利害関係者も非常に多く、反発も増えると予想する。その調整は並大抵ではないだろう。 3)『全量買取』の普及推進効果は? 今回の『余剰電力買取』制度が11月から始まることで、太陽光発電の普及に火がついたと思われる。それを『全量買取』に変えたところで、どのくらいのプラス効果が見込めるのか疑問だ。 たとえば、『全量買取』になったけれど、単価は『余剰電力買取』よりも安くなってしまったのでは、設置者から見て魅力はない。自家消費分のグリーン電力証書制度が無くなって、東京都の助成制度が頓挫したら、普及推進に水を差しかねない。 私としては、『全量買取』に多大な労力をかけるよりも、『余剰電力買取』のままで、前記のような修正をしていく方が、普及推進効果の高い制度を、はるかに早く実施できるのではないかと考える。繰り返しになるが、 1)買取期間をもっと長くする(12〜15年程度) 2)買取単価の低減をもっと緩やかにする(7〜10年で半額) 3)固定期間終了後の単価を購入電量料金と同等にする の3点の変更である。 とにかく、新政権は「始めに『全量買取』ありき」ではなく、『全量買取』と『余剰電力買取』の得失を良く比較した上で、時間と手間と金がかからないで普及推進効果の高い制度を実施して欲しいと思う。 |
| 「再生可能エネルギーの全量買い取りに関するプロジェクトチーム」 発足!(09.11.08) |
・事務局は資源エネルギー庁。 |
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TOP『我が家のオール電化&太陽光発電』−導入体験者だからここまで語れる−
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