太陽光発電の普及と普及推進策に関する考察 12.05.06更新41版(08.08.24新設) |
我が家ではオール電化(エコキュートとIHクッキングヒーター)&太陽光発電をリフォームで導入しました。
導入過程の重要ポイント、経験して初めて知った事など、体験談をご紹介します。
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5.資源エネルギー庁の資料から、その思惑を読み解く (08.09.20執筆) |
「新エネルギーの大量導入に伴う影響とその対応策について」 (平成20年9月8日 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部) http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g80908a04j.pdf という資料を読んでみた。 要約すると、「太陽光発電が順調に普及拡大した場合に、予想される問題点を挙げ、その解決方法のメリット・ディメリットを比較してまとめた」もので、「今後の対応のための調査費として6億円の予算を計上する」というものである。 太陽光発電が大量に普及した場合に新たな課題が出てくるであろうこと、そのために何らかの対策を準備すること、に関しては「まあ、そうだろうなあ」と思う。 ただし、大量に普及した時の検討も必要だけど、その前に本当に大量に普及させるための検討が不十分という気がするけれど・・・。 ところで、記載されている内容やその前提になっている数字は、私にとって注目すべきものがあった。この資料の主目的からは逸脱するが、それらの記載から、資源エネルギー庁の思惑を読み解いてみる。 1.基準は2005年 「中間とりまとめ(緊急提言)案」では、「2020年に『現状』の約10倍、2030年には約40倍を目標とする」とあり、『現状』とは「2007年度末」だと思っていたが、上記資料では、「2020年に2005年の約10倍、2030年には約40倍」が最大導入ケースとある。 そうか、『基準は2005年』の140万kWだったのか・・・。 「3.売電単価引き上げ策の提案−価格転嫁は可能だ!−」で、私は2007年度末の太陽光発電の稼動容量を少なめ(1450MW=145万kW)に見積もっていた。 「新エネルギーの大量導入に伴う影響とその対応策について」と私の前提条件は、出発点が約140万kWという点で、偶然(?)一致していた。 2.『目標』ではなく『最大導入ケース』? 「中間とりまとめ(緊急提言)案」では、「2020年に約10倍、2030年には約40倍を『目標』とする」としていたが、「新エネルギーの大量導入に伴う影響とその対応策について」では、『最大導入ケース』となっている。 『目標』→『最大導入ケース』・・・。 なんだかトーンダウンしているように感じるのは私だけだろうか? そのうち、『中間導入ケース』『最小導入ケース』などが登場し、いつの間にか『中間導入ケース』が『目標』にすり替わってしまわないか心配だ。 3.2009年度の『補助金』はほぼ間違いない? 最後の予算のページで、『住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金』として237円を掲げ、『高い普及効果が見込まれる住宅用太陽光発電システムの設備を導入する際に、当該整備設置者に対して定額の補助を実施する。』すると書かれている。 『助成』ではなく『補助金』と明記されており、何らかの条件がつくのかもしれないが、『補助金』であることは間違いなさそうだ。予算規模から考えると、2002年度の10万円/kWに匹敵する補助金額になる可能性もある。 「2008年8月12日 火曜日 日経エコロジー」の記事で、資源エネルギー庁新エネルギー対策課の渡邊昇治課長は補助金の復活を否定しているが、やっぱり補助金復活ではないか??? 4.ついに明かされた新築住宅偏重の中身! 2011〜2020年 ・新築戸建持家約30万戸/年の7割に導入 ・既築は5万戸/年に導入 2021〜2030年 ・新築戸建全体約50万戸/年の8割に導入 ・既築約25万戸/年に導入 えっ、2011〜2020年の既築住宅への設置は5万戸/年??? 2005年度の設置件数は、72,825件。その7〜8割(50,000〜58,000件)が既築だ。 つまり、2020年まで、既築住宅への設置は2005年と同等かそれ以下の水準のまま伸びない(伸びなくても良い?)という、とんでもない前提で考えていることがわかる。 それに比べて、新築戸建持家は約21万戸/年。2005年の10倍の水準。 『新築戸建持家』という表現から、建売住宅ではなく注文住宅(新規・建替え)を指していると思われる。建売住宅に最初から太陽光発電を設置するには無理があるので、当然、注文住宅が対象となることは理解できる。 しかし、注文住宅の7割に設置というのは、ほとんど強制的に設置させる法律でも作らない限り実現は難しいのではないだろうか? 国土交通省の「平成19年度住宅市場動向調査概要」 ( http://www.mlit.go.jp/common/000019412.pdf ) によると、新築住宅の中で太陽光発電の整備率がもっとも高い注文住宅の太陽光発電の整備率は9.4%に過ぎない。(分譲=建売住宅は1.1%) これを70%まで引き上げる具体策はどこにも書かれていない。(価格が半分になっても無理だろう) そもそも、新築戸建持家約30万戸/年もの着工数を2020年までずっと維持できるのだろうか? しかも、2021〜2030年は約50万戸/年を見込んでいる これから人口が減ってくるのだ。住宅購入層の数は確実に減っていくはずで、新築戸建持家の着工数は減って行くと考えるのが自然ではないか!!! 第2次ベビーブームが昭和46〜50年(1971年〜1975年)。その世代は現在33〜37歳で、既に住宅購入層のど真ん中だ。2020年には45〜49歳になっており、住宅購入層の中心ではなくなっている。その10歳下(1981〜1985年生まれ)の世代の人口は、第2次ベビーブーム世代の約7割に減少している。さらに、2030年の住宅購入層の中心である世代の人口は、第2次ベビーブーム世代の約6割に減少している。 日本政策投資銀行の「住宅市場の動向について」(08.03.28)によると、全国の住宅販売戸数は2006年を100として、2014年で85、2019年で87に低下すると予測している。 ( http://www.dbj.go.jp/japanese/download/pdf/indicate/no120.pdf ) 新築住宅への太陽光発電の設置は、住宅市場の動向に大きく依存しており、今後の少子高齢化と人口減を考えると、2011〜2020年に約30万戸/年の注文住宅着工数を見込むのはリスクが高すぎると考える。既築住宅への地道な普及拡大を怠るべきではない。 さらに不思議なのは、2021〜2030年は「既築約25万戸/年に導入」って、既築住宅への設置がいきなり5倍に増える計算になっているが、どうやったら急に5倍も増えるのか??? 5.2009〜2010年はどうなるのか? 「太陽光発電の導入シナリオ(最大導入ケース)」のページには、不思議なことに2011年からのシナリオは書かれているが、2009〜2010年については何も書かれていない。どうするつもりなんだろうか? どうなると予想してるのだろうか? 2009〜2010年はすでに捨ててるのか? もしかしたら、10年毎の区切りが良いからという単純な理由かもしれない(笑)が、「シナリオが2011年から始まっているのは、太陽電池メーカーによる次世代太陽電池の開発待ちという消極的姿勢」が透けて見える気がする。 |
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