太陽光発電の普及と普及推進策に関する考察
12.05.06更新41版(08.08.24新設)

我が家ではオール電化(エコキュートとIHクッキングヒーター)&太陽光発電をリフォームで導入しました。
導入過程の重要ポイント、経験して初めて知った事など、体験談をご紹介します。

TOP 自己紹介 導入機器 データ集 情報・体験談・秘話
掲示板 仲間の部屋 リンク集 更新情報 メールマガジン





<前 次>

上記広告主について、必ずしも管理人がその良否を確認できておりません。購入・契約の際にはご自身の責任でご判断ください。
「自己責任」の心の準備が出来ていない方にはクリックすることをお勧めしません。



6.2008年度下期 09年01月からの補助金政策に関する考察
(09.01.05執筆、09.01.25加筆・修正、09.02.01加筆・修正
09.03.07加筆、09.04.06加筆、09.04.25修正

 08年12月24日、08年度下期の補助金に関する告知がなされた。
 概略は以下の通りである。

  予算規模 : 90億円
  想定件数 : 約3万5千件
  募集期間 : 09/01/13〜09/03/31
  補助金額 : 7万円/kW
  価格条件 : 70万円/kW(税抜き)以下



 「『70万円/kW(税抜き)以下』という価格条件がつけられるのではないか」と言う話は以前から新聞等で報道されていた。

 それに対して、私のサイトの掲示板で、「パネルの方式や設置容量に依らず、一律に『70万円/kW(税抜き)以下』という価格条件を設けるのはいかがなものか?」、「設置条件に応じて価格条件を変えるべきではないか?」という議論がなされていたが、ふたを開けてみれば、やっぱり、一律に『70万円/kW(税抜き)以下』となってしまった。


 『70万円/kW(税抜き)以下』というのは、厳しい条件だ。

 まず、三洋(長州)のHIT(ハイブリッドタイプ)で、『70万円/kW(税抜き)以下』にするのはかなり難しい。ごく一部の販売会社しか実現できないだろう。
 個人的には、HITは定格kW当たりの年間発電量が多結晶に比べて約1割多いのだから、70万円77万円/kW(税抜き)以下』は補助金対象にしても良いのではないかと考えている。

 さらに、多結晶タイプであっても、2kW以下の小容量の場合や、2面・3面といった複数面設置の場合にも、『70万円/kW(税抜き)以下』にするのは難しい。

 結局、補助金の対象にならないケースがかなり多いと予想され、35,000件もの申請があるとは考えにくい。半分の17,500件行けば上出来だろう。下手すると10,000件程度に留まることも十分に考えられる。

 これでは、大した普及推進効果は期待できないのではないだろうか?

 一律に価格条件を設けるとしても、せめて『70万円/kW(税抜き)以下』ではなく、『80万円/kW(税抜き)以下』にすれば、かなり状況は違うと思うのだが・・・。

 なんとも中途半端で使いにくい補助金であることは間違いない。


 今回の補助金の受理件数を太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)のサイトで見ることができる。

 
http://www.j-pec.or.jp/06info.html (2/1修正)


 予算90億円、約35,000件を想定した補助金で、募集期間は78日。このうち、土日祝日を除くと実質54日。単純計算すると、1日あたりの受理件数は約648件である。
 1/23現在(実質9日間)の受理件数は2807件。
約48%のペースである。

 まだ始まったばかりなので何とも言えないが、順調に(?)予定の半分以下のペースで推移している。

 受理件数なので、審査の結果、補助金が交付されない場合もあるだろうから、交付件数はこれより少なくなるのは確実だ。今後は「交付決定件数」も公開されるであろうから、その数字にも注目していきたい。条件が複雑なので、どのくらいの割合で審査に通るのかも興味深い。

 今後、もっと伸びて半分を超える可能性はありそうだ。私は当初、もっと悲観的な数字を予想していたので、むしろ「意外に多いな」という感想を持っている。
 そうは言っても、
3ヶ月で販売件数:35,000自体が至難の業なので、交付件数:35,000は無理だろう。予算は余るに違いない。


 1/30現在の受理件数は5,196に増加した。かなりのペースアップだ。この調子でいけば、交付件数:25,000くらいはいくかもしれない。

 さて、私の掲示板の相談などを見ると、やはり補助金に価格条件があることで混乱が見られる。

 まず、単価が70万円/kWを超えているのに「補助金が出る」と言う業者が少なからず存在するようだ。後になって、「やっぱり補助金は出なかった」とか、申請書類を偽装するなど、トラブルに発展しないことを願うばかりだ。

 また、単価を70万円/kWにするために、エコキュート+IHヒーターに価格を上乗せしていると思われるケースも見受けられる。

 買う側にとっては、今まで以上に知識が必要になってきた。


 引き続き補助金の受理件数の推移を追いかけている。

 上述のように、募集開始第2週〜第3週はペースアップして、25,000件くらい行くかもしれないという勢いだったが、その後またペースダウンしてしまった。

 第6週〜第8週は、総定数(35,000件)ペース(648件/平日1日)の50%(324件/平日1日)のペースを割り込んでいる。

 この調子で行くと、やはり約半分くらいに落ち着くのだろうか?
 引き続き注視していきたい。


09.04.06加筆、
09.04.25修正

 2008年度の太陽光発電助成金申請が締め切られた。最後の2日で駆け込み申請が多かったためか、最終的に「
20,645 22,501」件が受理された。しかし、想定数35,000件の59% 64%に留まった。今回の助成金は最初から到底全て消化できるとは思えない規模で、予算が余ることは当初から予想できたが、やはりその通りの結果になった。

 今回余った予算は、2009年度以降に繰り越せないのだろうか?

 私は50%の17,500件いけば良い方だと思っていたので、もしも本当にこの期間で20,000件以上も売れたのなら、一応、予想を上回る健闘ではないかと評価する。
 そもそも35,000件なんて、どう考えても無理なので、最初から半分の17、500件を超えるのか、20,000件を超えるのかが興味の対象だった。

 ただし、気になる点はある。

 1)募集開始前に契約し、募集開始を待っていた申請がどれだけ含まれるのか?
 2)価格条件が無かったら、増えていたであろう申請件数はどのくらいか?
 3)価格条件を満たさないのに書類を操作して申請した分がどのくらいあるのか?

 もしも上記1)が多かったとすると、結局は第3四半期の買い控え・設置控えを第4四半期で挽回しただけで、第3〜第4四半期トータルで、昨年度(約24,400件)に対する普及推進効果としては、せいぜい数千件程度に留まったとの懸念がある。
 もっとも、08年度に前倒しで補助金政策を行わなかったら、買い控えが続いて、とんでもないことになっていたと予想されるので、何もしないよりもはるかに良かったのは間違いないが・・・。

 2)も気になるところだ。価格条件が無ければ、もっとたくさん売れたのではないかと思うのだが、いかがだろう?

 3)も気になる。70万円/kWをクリアできなくて、正直に諦めてしまったケースと書類を操作して貰えてしまったケース・・・。明らかに不公平で、「正直者がバカ見る」。
 こんなことがあって良いのだろうか?


 今回の補助金の問題点は、なんと言ってもその制度の複雑さにあると思う。助成を受けるための条件があまりにも多すぎる。特にkW当たりの税抜き単価が70万円以下という条件は本当に厳しい。

 条件をつけないと財務省が首を縦に振らないという理由があるのかもしれないが、3〜5年でシステム価格を半分にするという目標に拘り過ぎている。「始めにシステム価格の半減ありき」という政策にはどうも納得がいかない。

 条件をクリアするために、利益を削って疲弊するまじめな業者、手抜き工事をして何とか採算を取る業者、条件を満たすかのように書類操作をして補助金申請する業者・・・。どの道を選んでも不幸なことであり、決して太陽光発電の健全な普及にはつながらない。

 価格条件を設けるのなら不正防止を徹底すべきだし、設置数(量)を増やすことを第一に考えるのなら、価格条件は無いほうが良いと考える。


 ここに来て急激に普及推進の方向に舵を切ったのも、今後の価格低下を阻害する要因になりかねないと考える。減少した国内需要に合わせて輸出向け(薄膜系など)にシフトしていた国内メーカーの生産体制を国内向け(結晶系)に再び移行するのには時間がかかり、一時的に需給が逼迫する可能性がある。

 2009年度の国の助成金の予算額が200.9億円。7万円/kWなので、定格容量287,000kW分の設置を見込んでいる。過去最高の2005年度が261,741kWだから、国の助成金対象分だけで、その1.1倍。仮に助成金の対象になるのが設置量の8割とすると、全設置量は2005年度の約1.4倍の定格358,750kWという計算になる。はたしてメーカーがそんなに生産できるのだろうか?

 価格というのは需要と供給の関係で決まるものである。むしろ実勢価格が上がる可能性も否定できないのだ。それを助成金の条件でコントロールしようとすること自体に無理がある。結局は期待するほど設置量は増えないし、補助金の予算も余るのではないかと危惧している。

 やはり政策の継続性は重要で、急に助成策を講じたからといって簡単には普及しないと考える。メーカーだって、継続的な推進策が保証されないと安心して生産量を増やせないと思う。

 例えば、エコキュートの補助金は継続的に実施されている、補助金の金額は年々減っているが、継続的な助成策が功を奏し、市場価格は確実に下がっている。「高くても売れるための助成策」を継続的に実施し、継続的な需要拡大が確保できて、はじめて「価格の低下」につながるのだと考える。

 『3〜5年でシステム価格半減』などという性急な目標を掲げ、短期的な補助金政策を行うのではなく、息の長い普及推進策を行うべきではないか。目的は『価格を下げること』ではなく、『太陽光発電を普及させること』ではなかったのか?

 ボッタクリ悪徳業者の排除は、普及政策ではなく、消費者保護政策として別途行うべきと考える。それこそ、『消費者庁』を創設して徹底的にやれば良いのではないだろうか?

 

5.資源エネルギー庁の資料から、その思惑を読み解く ←前   目次   次→  7.ついに「本命・売電単価の引き上げ」の実現か!
−新しい買取制度について−




<前 次>


<前 次>

上記広告主について、必ずしも管理人がその良否を確認できておりません。購入・契約の際にはご自身の責任でご判断ください。
「自己責任」の心の準備が出来ていない方にはクリックすることをお勧めしません。

TOP 自己紹介 導入機器 データ集 情報・体験談・秘話
掲示板 仲間の部屋 リンク集 更新情報 メールマガジン

TOP『我が家のオール電化&太陽光発電』−導入体験者だからここまで語れる−

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送